メタアナリシス:中等症~重症に対するトリプル吸入療法の効果
2021年 06月 12日
テリルジーはすでに使用していますが、エナジアはもうすぐ長期処方が解禁になりますので、ありがたいかぎりです。現在用いられている吸入薬は以下の図の通りです。
- 概要
■中等症~重症の喘息に対して、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)を吸入ステロイド(ICS)および長時間作用性β2作動薬(LABA)に追加する利点と有害性は不明なままである。
■持続性のコントロール不良の喘息の小児および成人におけるトリプル吸入療法(ICS/LABA/LAMA)とデュアル吸入療法(ICS/LABA)に関連するアウトカムと有害事象に対するシステマティックレビュー。
■データソースは、2017年11月から2020年12月8日までのMEDLINE、Embase、CENTRAL、ICTRP、FDA、EMAデータベースとした。言語は問わず。
■2人の研究者が中等症~重症の喘息患者を対象に、トリプル吸入療法とデュアル吸入療法を比較するランダム化臨床試験(RCT)を個別に選択。独立してデータを抽出し、バイアスリスクを評価した。個々の患者レベルの悪化データを含むランダム効果メタアナリシスがおこなわれた。
■重度の悪化、喘息コントロール(喘息コントロール質問票[ACQ-7]:MCID0.5 )、QOL(AQLQ:MICD0.5)、死亡率、有害事象を調べた。
■11,894人の小児と成人(平均年齢52歳[範囲9-71歳]; 57.7%が女性)を登録した3つのLAMAを使用した20件のRCTが含まれた。デュアル吸入療法と比較してトリプル吸入療法は、重度の増悪リスクの低下と有意に関連していることを示した(9件の試験[9932人の患者]; 22.7% vs 27.4%;リスク比0.83 [95%信頼区間0.77から0.90])。同様に、喘息コントロールの改善(14件の試験[11,230人の患者];標準化平均差[SMD]-0.06 [95%信頼区間-0.10〜-0.02]; ACQ-7平均差-0.04 [95%信頼区間-0.07〜-0.01])がみられた。喘息関連QOL(7件の試験[5247人の患者]; SMD、0.05 [95%信頼区間-0.03〜0.13]; AQLQスコア平均差0.05 [95%信頼区間-0.03〜0.13 ])や死亡率(17件の試験[11,595人の患者]; 0.12 vs 0.12%;リスク比0.96 [95%信頼区間0.33〜2.75])に有意差はなかった。トリプル吸入療法は、口渇および口内乾燥症の増加と有意に関連していた(10件の試験[7395人の患者]; 3.0% vs 1.8%;リスク比1.65 [95%信頼区間1.14〜2.38])。重篤な有害事象は群間差はなかった。
■中等症から重症の喘息小児と成人において、デュアル吸入療法と比較して、トリプル吸入療法は、QOLには影響を与えないものの、重度の喘息増悪の減少と喘息コントロールの改善がみられた。
エナジアは、プロペラ・ヘルス社により開発された「ブリーズヘラーに装着するセンサー(ブリーズヘラーセンサー)」とBluetoothで接続できる「プロペラ スマートフォンアプリ」に対応しており、吸入確認、服薬リマインダーなどの機能を活用できます。 吸入薬+センサーは、これまで何度も試作されては消えていったのですが、実用化したのはこれが初めてじゃないでしょうか。「監視されているみたいでイヤだ」という患者さんもいるかもしれませんが、吸入アドヒアランスの向上のためには有用なアプリケーションだと思います。
by otowelt
| 2021-06-12 00:48
| 気管支喘息・COPD