COVID-19:COLCORONA試験:軽症例に対するコルヒチン
2021年 06月 01日
すでにプレプリントで報告されている内容ではあります。日本でも、軽症から中等症Ⅰに対する抗炎症薬として日本医療研究開発機構(AMED)の研究開発課題として臨床試験が実施されています。
- 概要
■COVID-19の合併症には、過剰な炎症が存在すると言われている。コルヒチンは、痛風、心膜炎、冠動脈疾患に有効な経口抗炎症薬である。コルヒチンがCOVID-19に関連する死亡または入院の複合アウトカムに及ぼす影響を調査することを目的とした。
■本研究は、第3相ランダム化二重盲検プラセボ対照多施設共同試験である。この研究は、ブラジル、カナダ、ギリシャ、南アフリカ、スペイン、アメリカで行われた。PCR検査または臨床基準によってCOVID-19と診断され、病院で治療を受けていない40歳以上の外来患者が登録された。
■患者は、経口コルヒチン (0.5mgを1日2回3日間、その後27日間1日1回投与) または対応するプラセボにランダムに割り付けられた。主要有効性エンドポイントは、COVID-19に関連する死亡または入院の複合とした。
■試験登録は2020年3月23日に開始され、2020年12月22日に完了した。合計4488人の患者 (53.9%が女性、年齢中央値54.0歳[IQR 47.0-61.0]) が登録された。2235人の患者がコルヒチン群に、2253 人の患者がプラセボ群に割り付けられた。主要有効性エンドポイントは、コルヒチン群の2235 人中 104 人 (4.7%)、プラセボ群の2253 人中 131 人 (5.8%) で発生した (オッズ比0.79、95.1%信頼区間0.61-1.03; p=0.081)。PCRで確認されたCOVID-19患者4159人では、同エンドポイントはコルヒチン群の2075人中96人(4.6%)、プラセボ群の2084人中126人(6.0%)に発生した(オッズ比0.75、95.1%信頼区間0·57-0.99; p=0.042)。
■重篤な有害事象は、コルヒチン群の2195 人中 108 人 (4.9%)、プラセボ群の2217 人中 139 人 (6.3%) で報告された (p=0.051)。肺炎は、コルヒチン群の2195 人中 63 人 (2.9%)、プラセボ群の2217 人中 92 人 (4.1%) で発生した (p=0.021)。下痢は、コルヒチン群の2195 人中 300 人 (13.7%)、プラセボ群の2217 人中 161 人 (7.3%) で報告された (p<0.0001)。
以上の結果から、確実な確定診断を受けられないもののCOVID-19であろうと臨床診断される可能性がある地域において、軽症例に対する外来経口コルヒチンは関連イベントを改善させる効果は観察されませんでした。ただし、厳密な診断をくだしたケースでは有意差がついています。人道的対応としての投与は考慮してもよいのかもしれません。
by otowelt
| 2021-06-01 00:45
| 感染症全般