免疫チェックポイント阻害剤による結核発症リスク

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リアルワールドで実感するほどのリスク上昇はなさそうに思われます。他の報告でも結核発症リスクを上昇させないとされています(Cancer Immunol Immunother . 2021 Mar 26.doi: 10.1007/s00262-021-02905-8.)。B型肝炎や結核の既往があっても安全に使用可能とされています(Lung Cancer . 2020 Aug;146:145-153.)。

LTBIのチェックは通常おこなわれますが、エビデンスベースドの議論がすすめばよいですね。


Kim HW, et al. Incidence of tuberculosis in advanced lung cancer patients treated with immune checkpoint inhibitors - A nationwide population-based cohort study. Lung Cancer . 2021 May 31;158:107-114.

■この研究の目的は、プラチナベースの化学療法後に免疫チェックポイント阻害剤(ICI)で治療された進行性非小細胞肺癌(NSCLC)患者の結核のリスクを調査することである。

■国民健康保険データセットを使用した国内人口ベースの後ろ向きコホート研究が設計された。2017年9月1日から2018年8月31日までの間に韓国で肺がんと診断された患者が選ばれた。その中には、プラチナベースの化学療法を3か月以内に開始したNSCLC患者が最終的に含まれ、2018年12月31日まで追跡調査された。研究期間内にニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブを投与された患者はICI群に分類された。Cox比例ハザードモデルを使用して、従来の化学療法、ICI、結核に対する全身ステロイドの連続使用の影響を決定した。

■合計6335人の患者が登録され、3568.7人年追跡された。899人の患者がICI治療を受けた。フォローアップ期間内に、ICI群で15人の結核症例が同定された(発生率:10万人年あたり2582.5)、従来の化学療法グループで63人の結核症例が同定された(発生率:10万人年あたり2108.5)。多変量Cox比例ハザードモデルでは、ICIによる治療は結核発症の重大なリスク因子ではなかった(ハザード比1.21、95%信頼区間0.45-3.26、p = 0.700)。しかしながら、ステロイドの長期使用は結核リスクの増加と関連する傾向にあったが(ハザード比1.91、95%信頼区間0.89-4.08、p = 0.095)、統計学的に有意とは言えなかった。過去の結核の既往と高齢は、結核発症の独立したリスク因子だった。




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by otowelt | 2021-07-24 00:15 | 肺癌・その他腫瘍

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優