本の紹介:フレームワークで考える内科診断

分厚い!熱量がすごいぜ・・・。田中竜馬先生が監訳された話題の本、「フレームワークで考える内科診断」を読ませていただきました。
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発売日:2021年7月2日
単行本 : 676ページ
価格 : 8,300円 (税別)
出版社 : メディカルサイエンスインターナショナル
監訳: 田中竜馬先生


紹介されている50のプロブレムは臨床において典型的なものではありますが、この本で重要なのは、「おまえさん、この病気をどう考える?」なのです。Mansoor先生のすごいところは、疾患の診断にいたるプロセスにあります。これをこの本では、フレームワークと書いています。たとえば、コインが落ちる音がする。「おまえさん、今の音は何だと思う?」「100円玉でしょうか」「ふむ、しかしそもそもなぜ貨幣だと思った?」という気づきを与えてくれるのがフレームワークです。まず、「コインが落ちるような高調音」には、貨幣以外にも酒瓶の蓋や自宅のカギなど、似ている音がたくさんあります。内科医の思い込みや先入観を払拭して、鑑別診断を俯瞰的にとらえる必要があります。

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この本は、シマウマの蹄を当てに行く医学書ではなく、コモンな病態をいかにしてフレームワークで考えるかに主眼を置いています。この本の表紙の図はとてもそれを分かりやすく表していて、全体のフレームワークをまず考えて、そこに肉付けをしていくというのがこの診断推論の面白いところです。そのためには、フレームそのものを知る必要があります。そのためには、本書でコモンな病態のフレームの材料を仕入れるべきでしょう。
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by otowelt | 2021-07-03 00:00 | 内科一般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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