こ・・・これは、近年まれにみるグラム染色の名著ではないのか!!
監訳: 林 俊誠先生
グラム染色を一番やっていたのは研修医時代でした。バイオセーフティキャビネットではなく、救急外来でPPEをつけずに染めていた気がしますが、まぁ時効ということで。白衣にクリスタルバイオレットがついて取れないなんてことがよくありました。上手に染色できた肺炎球菌や大腸菌のスライドグラスを永久標本にして、自分のコレクションにしていました(これが今では許されるのかどうかは知らない)。
グラム染色の本はいくつかありますが、この本、「至言が至言過ぎる」のです。全てが心に突き刺さるメッセージ。写真にもありますが、『「E. coliよりも細い」と気づける感覚を養う』、至言です。緑膿菌ってヒョロっとしているので、それに気付けるかどうかが大事です。そのほか、『確信をもってコンタミネーションと言えるようになろう』『「何もいないのに、何かいる」は抗酸菌を疑う』『グラム染色鏡検で「見えない」からこそ見えてくるものがある』など、目からウロコの「至言」がてんこもりで、読んでいてテンションが上がってきます。
Bacteroides、安全ピン!すいません、笑ってしまいました。
グラム染色に限った本ではなく、臨床における判断についても丁寧に記載されています。たとえばESBL感染症でカルバペネムを温存しなきゃだめだよ、というICTとしても重要なメッセージも書かれています。
グラム染色に偏った本ではないので、感染症診療に従事するすべての医療従事者にとって満足度が高いと思います。何より、安いです。