COVID-19:メタアナリシス:IL-6阻害薬の有効性

COVID-19:メタアナリシス:IL-6阻害薬の有効性_e0156318_10111916.png

IL-6は主にCis signalingとTrans signalingの2経路によりサイトカインストームを惹起します。シツキシマブ(IL-6抗体)、トシリズマブ(ヒト化IL-6R抗体)、サリルマブ(完全ヒト化IL-6R抗体)で差があるのかどうかはっきりしませんが、とにかくIL-6を抑えればCOVID-19のサイトカインストームもおさえられるのでは、というのが当初からの想定機序です。

REMAP-CAP研究、RECOVERY研究からは、全身性ステロイドにトシリズマブを上乗せすることで死亡率を改善する効果が期待されています。




  • 概要
■COVID-19の入院患者に対するIL-6阻害薬の有効性を評価した臨床試験では、有益性がある、効果がない、有害である、など様々な報告がなされている。この研究は、IL-6阻害薬の投与に関して、通常治療またはプラセボと比較して、28日目の総死亡率およびその他のアウトカムとの関連を推定することを目的とした。

■2020年10月~2021年1月に電子データベースをシステマティックレビューし、臨床試験を同定した。試験の状況や言語によって制限はもうけなかった。COVID-19の入院患者を、IL-6阻害薬を投与する群と、全身性ステロイド以外の免疫抑制剤を使用しない群にランダムに割り付けた72試験のうち27試験が適格基準を満たした。28日間の総死亡のオッズ比を算出した。副次的評価項目として、侵襲的機械的人工呼吸への移行や死亡、28日後までの二次感染のリスクなど9項目を設定した。

■27試験に参加した合計10,930人の患者(年齢中央値61歳[範囲52~68歳],3560人[33%]が女性)を対象とした。28日目までに、IL-6阻害薬にランダムに割り付けられた6449人の患者のうち1407人が死亡し、通常治療またはプラセボに割り付けられた4481人の患者のうち1158人が死亡した(オッズ比0.86[95%信頼区間0.79-0.95]、固定効果メタアナリシスP = 0.003)。これは、IL-6拮抗薬の絶対的死亡リスクが22%であるのに対し、通常治療またはプラセボの想定死亡リスクが25%であることに相当する。薬剤別では、トシリズマブがオッズ比0.83(95%信頼区間0.74-0.92;P<0.001)、サリルマブがオッズ比1.08(95%信頼区間0.86-1.36;P=0.52)だった。全身性ステロイド投与を受けているCOVID-19患者では、通常治療またはプラセボと比較した死亡のオッズ比 はトシリズマブ0.77(95%信頼区間0.68-0.87)、サリルマブ 0.92(95%信頼区間0.61-1.38)だった。

■通常治療またはプラセボと比較して、侵襲性人工呼吸管理への移行または死亡との関連のオッズ比は、すべての IL-6阻害薬で 0.77(95%信頼区間0.70-0.85)、トシリズマブで0.74(95%信頼区間0.66-0.82)、サリルマブで 1.00(95%信頼区間0.74-1.34)だった。28日目までに二次感染が発生したのは、IL-6阻害薬を投与した患者の21.9%に対して、通常治療またはプラセボを投与した患者の17.6%だった(オッズ比0.99;95%信頼区間0.85-1.16)。



実臨床ではアクテムラ一択ですが、通常治療やプラセボと比較して、28日目の総死亡率の低下と関連していることが示されました。全身性ステロイドと併用することが前提にあると考えてよいでしょう。


[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ポケット呼吸器診療(2021) [ 倉原優 ]
価格:2200円(税込、送料無料) (2021/5/28時点)



by otowelt | 2021-07-07 10:20 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優