気管支拡張症に対する吸入ステロイドはアウトカム不良に関連

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閉塞性換気障害になることもある気管支拡張症に対して、吸入薬を処方している人はいないでしょうか?臨床的にはどの製剤も禁忌に近いので注意してください。

現時点で判明していることとして、
・マクロライド単独治療と比較してICS使用は呼吸器感染症入院のリスク上昇と関連する(Eur Respir J . 2019 Jul 18;54(1):1801896.)
・LABAやLAMAは血痰のリスクが高くなる(Respirology . 2015 Nov;20(8):1213-21.)
・ICS/LABAとSABAの併用によって血痰のリスクが高くなる(Int J Tuberc Lung Dis. 2014;18(3):363-70.)
という見解があります。

今日紹介するのは、気管支拡張症に対するICSが臨床転帰を不良にするという報告です。喘息やCOPDを合併していない気管支拡張症患者さんの5人に1人近くがICSを処方されているというのが驚きでした。これはよくないですね。


■閉塞性肺疾患のない気管支拡張症に対して、ICSを処方することは議論の余地がある。ICSと気管支拡張症の臨床転帰への影響を調査した研究は少ない。

■この研究では、2014~2015年にデンマーク首都圏の2つの大学病院の呼吸器外来で管理されたすべての気管支拡張症患者を対象とした。ベースラインデータは患者の診療録から得て、2020年4月まで追跡した。

■264人の患者のうち、122人(46%)がICSを処方されており、ICSの使用者/非使用者の間に統計学的な差異は観察されなかった。ICSを処方された患者のうち、21%は喘息またはCOPDの診断を受けていなかった。ICSを処方された患者は、肺機能が低下し(%1秒量中央値65.2% vs. 80.9%, p<0.001)、咳(p=0.028)、喀痰(p <0.001)、呼吸困難(p <0.001)などの症状が多かった。

■ICS治療を受けた患者では、喀痰培養で緑膿菌が陽性になる頻度が高く(6.5% vs 20%、p=0.010)、過去の重度増悪も多かった(41% vs 21%、p <0.001)。

■年齢、性別、1秒量、喘息/COPDの有無によって調整した多変量Cox回帰分析において、高用量ICSの使用は死亡率の上昇と関連していた(ハザード比4.93 [95%信頼区間1.73-14.0]、p=0.003)。

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. ICS有無によるアウトカム(文献より引用改変)




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by otowelt | 2021-08-08 00:43 | 呼吸器その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優