COVID-19:院内感染2508人の臨床的検討
2021年 07月 27日
1564人の院内感染事例がもっとも多いコホートでしたが、それを上回るウェールズからの報告です。入院している患者さんの状態にもよりけりで、急性期と非急性期では雲泥の差があるようには思います。
Ponsford M, et al. Burden of nosocomial COVID-19 in Wales: results from a multicentre retrospective observational study of 2508 hospitalised adults. Thorax. 2021 Jul 22:thoraxjnl-2021-216964.
- 概要
■医療従事者の間でSARS-CoV-2が院内感染した場合の有病率や転帰については、ほとんど知られていない。これまでに行われた最大かつ唯一の多施設共同コホート研究では、11病院でSARS-CoV-2感染が確認されて入院した患者1564人の転帰が報告されている(J Hosp Infect 2020;106:376–84.)。この研究では、院内感染者の死亡率は、市中感染者と同程度だった(27.0% vs 27.2%)。しかしこの研究はパンデミック初期に実施されたものであり、国や地域レベルで公開されているデータが少ないため、院内感染COVID-19の真の影響を確実に推定することは困難だった。
■2020年3月1日から2020年7月1日の間の、入院記録のある成人のSARS-CoV-2 PCR陽性患者を特定し、後ろ向きのレビューをおこなった(2508人)。
■ウェールズ地方でCOVID-19により入院した成人人口の約61%をカバーする症例を抽出した。年齢の中央値は74歳(IQR 62.5-85.5)で、男性が54.3%、女性が45.7%だった。
■入院から診断までの期間が14日を超えるものを院内感染のCOVID-19と定義したところ、411例(コホートの16.4%)が同定された。院内感染患者の39.2%が死亡したのに対し、市中感染患者では31.7%が死亡した。ランダム効果モデルを使用したところ、院内感染のCOVID-19患者の死亡の相対リスクは、施設間で平均すると、市中感染の1.24倍だった(95%信頼区間1.06~1.42、p=0.0047)。
by otowelt
| 2021-07-27 00:53
| 感染症全般