単施設(東邦大学医療センター 大森病院)の後ろ向き観察研究ですが、ピルフェニドンのほうが急性増悪率が低いという結果でした。ニンテダニブのデメリットとしては、下痢が多いことや体重減少が多いということがすでに指摘されています。
Isshiki T, et al. Incidence of acute exacerbation of idiopathic pulmonary fibrosis in patients receiving antifibrotic agents: Real-world experience. Respir Med . 2021 Jul 26;187:106551.
- 概要
■特発性肺線維症の急性増悪(AE-IPF)は、IPFの臨床経過中に起こりうる致命的な事象である。臨床試験のデータでは、抗線維化薬であるピルフェニドンやニンテダニブがAE-IPFのリスクを低減する可能性が示唆されているが、臨床現場で抗線維化薬の投与を受けている患者のAE-IPFの発生率は明らかになっていない。
■抗線維化薬を投与されている患者のAE-IPFの発生率を明らかにし、ピルフェニドンとニンテダニブを投与されている患者のAE-IPFの頻度を比較すること。
■2009年から2018年までの期間に、単施設当院でピルフェニドンまたはニンテダニブの投与を開始したIPF患者199人の臨床記録を後ろ向きにレビューした。ベースラインの患者特性、AE-IPFの発症率、AE-IPF発症後のアウトカムを分析した。
■観察期間中、AE-IPFの1年、2年、3年の累積発生率は、それぞれ9.3%、22.1%、25.0%だった。ピルフェニドン vs ニンテダニブにおいては、5.1 % vs. 18.6 %、20.4 % vs. 25.2 %、22.6 % vs. 29.6 %だった。AE-IPF の発生率は、ピルフェニドン群がニンテダニブ群よりも有意に低かった(P = 0.035)。また,AE-IPF発症後の3ヶ月生存率は、ピルフェニドン群で61.1%、ニンテダニブ群で61.5%で、アウトカムは両群同等だった。