COVID-19:ファビピラビルのメタアナリシス
2021年 08月 06日
海外の中等症~重症なので、日本の中等症I~中等症IIあたりが該当しますが、試験ごとに定義がまちまちという大きなlimitationがあります。軽症例については組み込まれていません。また、比較対照のTableをみてみると、なんとなーく不均一です。ただ、Discussionには「対照群で使用された薬剤は、COVID-19 に対して効果がないことが証明されている」との記載があります。オッズ比が算出できたのが5件という・・・。
Özlüşen B, et al. Effectiveness of favipiravir in COVID-19: a live systematic review. Eur J Clin Microbiol Infect Dis. 2021 Aug 4. doi: 10.1007/s10096-021-04307-1.
■中等症から重症のCOVID-19患者に対するファビピラビルの致死率および人工呼吸の必要性に対する有効性について、システマティックレビューおよびメタアナリシスを行った。
■入手可能な文献を検索し、PRISMAガイドラインで報告した。2021年6月1日まで、PubMed、bioRxiv、medRxiv、ClinicalTrials.gov、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、Google Scholarを、"Favipiravir"および"COVID-19"を用いて検索した。
■中等症および重症のCOVID-19患者において、ファビピラビル治療を標準治療と比較した研究を対象とした。バイアスのリスク評価は、ランダム試験についてはRevised Cochrane risk of bias tool(RoB2)、非ランダム化試験についてはROBINS-I評価ツールを用いた。アウトカム評価は、致死率と機械換気の必要性とした。
■合計2702の研究が確認され、1636人の患者を対象とした12の臨床試験が解析対象となった。12件の研究のうち9件はランダム化比較試験だった。ランダム化試験のうち、1件はバイアスのリスクが低く、6件はバイアスのリスクが中程度で、2件はバイアスのリスクが高かった。観察研究は中程度のバイアスリスクがあると判断され、非ランダム化研究は強いバイアスリスクがあると判断された。
■3試験はファビピラビルと標準的な治療法を比較しており、ファビピラビルとヒドロキシクロロキンを比較した試験が3件、クロロキンと比較した試験が1件、ロピナビル/リトナビルと比較した試験が2件、アルビドールと比較した試験が1件だった。
■オッズ比が算出できた研究は5試験だった。致死率(図上段forest plot:オッズ比1.11、95%信頼区間0.64-1.94)および機械換気の必要性(図下段forest plot:オッズ比0.50、95%信頼区間0.13-1.95)については、ファビピラビル介入群と比較群の間に有意差は観察されなかった。 (forest plot:文献より引用)
by otowelt
| 2021-08-06 07:38
| 感染症全般