無症候性気管支拡張症のリスク因子
2021年 08月 26日
健診のレベルによって有病率は上下しますが、日本でも無症候性のほうが多い印象です。
アジアは欧米よりも気管支拡張症の有病率が高いとされており(Chron Respir Dis 2017; 14: 377–384. doi:10.1177/1479972317709649、Eur Respir J 2019; 54: 1900499. doi:10.1183/13993003.00499-2019、BMC Pulm Med 2020; 20: 15. doi:10.1186/s12890-020-1050-0)、本研究の数値もまさにその通りの結果になっています。
これは、アジアでは、呼吸器感染症と肺結核の有病率が諸外国よりもかなり高く、これが気管支拡張症の原因になっているのではないかと考えられています(Respirology 2016; 21: 1376–1383.)。
Kim S, et al. Prevalence of asymptomatic bronchiectasis and associations among the health screening population in South Korea. ERJ Open Res . 2021 Aug 2;7(3):00188-2021.
- 概要
■韓国では無症候性気管支拡張症に関するデータがほとんどない。われわれは、胸部CT所見に基づく気管支拡張症の有病率を、無症候性気管支拡張症に重きを置いて調査し、その関連因子を調べた。
■2016年から2017年にかけて、韓国の健診センターで胸部CTを受けた人のデータを分析した。韓国の一般集団について、気管支拡張症の有病率を評価し、性別、年齢で調整した。ロジスティック回帰分析を行い、気管支拡張症のない群と症候性気管支拡張症のある群とを比較して、無症候性気管支拡張症に関連する因子を同定した。
■スクリーニングされた 2万7617人のうち、胸部CT所見に基づいて気管支拡張症と診断されたのは 1005人で、調整後有病率は10万人あたり2329人だった。無症候性気管支拡張症の調整後有病率は10万人中1235人、症候性気管支拡張症の調整後有病率は10万人中1094人だった。
■非気管支拡張症群と比較して、無症候性気管支拡張症に関連する因子は、女性(オッズ比1.41;95%信頼区間1.18-1.70)、高齢(オッズ比1.06;95%信頼区間1.05-1.07)、併存する肝臓疾患(オッズ比1. 32、95%信頼区間1.07-1.63)、COPD(オッズ比4.99、95%信頼区間2.88-8.64)、結核既往(オッズ比1.98、95%信頼区間1.46-2.68)、1秒量低下(オッズ比0.99、95%信頼区間0.98-0.998)が挙げられた。
■韓国では、無症候性気管支拡張症の有病率が症候性気管支拡張症の有病率よりも高かった。女性、高齢、肝疾患、COPD、結核の既往、1秒量低値が無症候性気管支拡張症のリスク要因と考えられる。
by otowelt
| 2021-08-26 00:06
| 呼吸器その他