上気道症状が強いCOPDでは好酸球性フェノタイプが多い

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好酸球性フェノタイプのCOPDについての研究です。上気道に症状が偏ったCOPDは検査前確率が高そうですね。臨床的に有用と思います。

喘息が合併していないCOPDにおいて、Th2炎症が気道上皮において高く発現していることが示されています。気道上皮における発現程度が高いほど、COPDの1秒量が低下することが分かっています。反面、可逆性については大きくなり、ICSの効果があるのではと理解されています。

気道過敏性がないのにTh2炎症が起こる要因には、たとえば外的な要因、たばこや大気汚染によって、マクロファージを介して、IL-25、IL-33、TSLPなどが放出され、ICL2が刺激され、Th2サイトカインが誘導されるというものがあります。通常の喘息でみられる気道可逆性とは違って、ICL2由来のTh2炎症はステロイド抵抗性とされており、ICSが思ったより効果を発揮しない患者さんもいます。



Obling N, et al. Upper airway symptoms associate with the eosinophilic phenotype of COPD. ERJ Open Res . 2021 Aug 2;7(3):00184-2021.
  • 概要
■COPDでは上気道症状が下気道症状と共存するエビデンスが増えてきている。それでも、上気道症状の有病率や、COPDの性格・経過に与える影響については不明な点が多い。われわれはこれについて、横断的な研究をおこなった。

■COPD患者のコホートを対象に、肺機能検査、誘発喀痰、血中好酸球数、アレルギー検査、副鼻腔CTをおこなった。下気道症状はCATスコアを用いて、上気道症状はSNOT22の鼻サブドメインを用いて評価した。デンマークとスウェーデンの5施設から患者を登録した。喘息の既往歴のある患者は除外した。

■180人のCOPD患者(女性55%、年齢67±8歳、%1秒量52.4±16.6、COPD GOLD A:18%、B:54%、C:3%、D:25%)を対象とした。74人(41%)の患者が強い上気道症状(SNOT22鼻サブドメイン≧6点以上)を訴え、スコアの中央値は10(IQR 8-13)だった。これらの高い患者は、CATスコアが高く(17.4±7.5 vs 14.9±6.6、p<0.05)、血中好酸球割合が高く(中央値3.0%[IQR1.6-4.2%] vs 2.3%[IQR1.4-3.1%]、p<0.05)、誘発喀痰中好酸球割合が高かった。(中央値1.8%[IQR0.3-7.1%] vs 0.5%[IQR0-1.7%]、p<0.05)。また、アレルギー検査、CT所見、増悪率には差がなかった。







by otowelt | 2021-08-30 00:35 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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