COVID-19:PRINCIPLE研究:ブデソニドはハイリスク症例に対して回復までの時間を改善


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日本の観察研究では、シクレソニドの効果が否定されています。ブデソニドは国際的にもよく使われているICSの1つですが、基本的にICSの使い分けというものは吸入デバイスとICS用量以外において差はないと思っているので、ブデソニドが効果的とするとシクレソニドrevisitという可能性も微レ存でしょうか・・・?

■参考記事:COVID-19:STOIC試験:ブデソニド(パルミコート)は軽症例において効果あり?




■以前の有効性試験では、入院していない患者のCOVID-19に対する吸入ブデソニドの有効性が認められたが、ハイリスク者における有効性は不明である。われわれは、吸入ブデソニドが、ハイリスク患者の回復までの時間とCOVID-19関連の入院または死亡を減少させるかどうかを検証した。

■PRINCIPLE研究は、多施設共同非盲検ランダム化比較試験で、イギリスのプライマリケアセンターで行われた。対象者は、65歳以上、あるいは50歳以上で合併症を持ち、COVID-19が疑われる状態で14日以内に悪化したが入院していない患者とした。

■被験者は、通常ケア、通常ケア+ブデソニド吸入(800μg1日2回×14日間)、通常のケア+その他介入にランダムに割り付けられ、28日間追跡された。参加者は割り付け群を認識していた(非盲検)。

■主要評価項目は、自己申告による最初の回復までの期間、およびCOVID-19に関連した28日以内の入院または死亡であり、ベイズモデルを用いて分析した。

■4700人の参加者を、ブデソニド群(n=1073)、通常ケア群(n=1988)、その他の治療群(n=1639)にランダムに割り付けた。一次解析モデルには、SARS-CoV-2陽性の参加者2530人が含まれ、ブデソニド群が787人、通常ケア群が1069人、その他の治療を受けた974人が含まれた。自己申告による回復までの期間は、ブデソニド群と通常ケア群で推定2.94日(95%ベイズ確信区間1.19~5.12)の差だった。優越性の確率は0.999を超え、事前に規定した優越性の閾値0.99を満たした。入院または死亡のアウトカムについては、ブデソニド投与群で6.8%(95%ベイズ確信区間4.1~10.2)、通常治療群で8.8%(95%ベイズ確信区間5.5~12.7)(推定絶対差2.0%[95%ベイズ確信区間-0.2~4.5]、オッズ比0.75[95%ベイズ確信区間0.55~1.03])となり、優越性の確率は0.963で、事前に規定した優越性の閾値0.975を下回っていた。




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by otowelt | 2021-08-15 20:26 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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