COVID-19:アウェイク腹臥位療法は挿管率を減らすか? その3

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この報告では「毎日、できるだけ長く、できるだけ頻繁に」といいう条件での腹臥位なのですが、結構キツイんですよね、これ。特に呼吸不全期にある患者さんの場合、胸郭の運動が制限されるので、逆効果になるケースもありそうです。

8時間くらい腹臥位をとらないと、効果がなさそうに思います。腹臥位での就寝が常ではない人にとっては、起きている時間のほとんどですね。いやあ、きつい。


本日更新のYahoo!個人ニュース記事でも取り上げました。


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  • 概要
■アウェイク腹臥位療法は、COVID-19患者の酸素化を改善することが後ろ向き研究や観察研究で報告されているが、それが患者アウトカムを改善するかどうかは不明である。われわれは、大規模ランダム化試験において、重症COVID-19患者の気管挿管や死亡を防ぐためのアウェイク腹臥位療法のの有効性を評価することを目的とした。

■COVID-19 による急性低酸素性呼吸不全に対して高流量鼻カニュラ酸素療法を要した成人について、アウェイク腹臥位療法あるいは標準治療に割り付けた6件のランダム化比較試験でメタアナリシスをおこなった。カナダ、フランス、アイルランド、メキシコ、アメリカ、スペインの6ヶ国の施設が対象となった。主要複合アウトカムは治療失敗で、登録後28日以内に気管挿管あるいは死亡した患者の割合と定義された。

■2020年4月2日~2021年1月26日の間に、1126人の患者が登録され、アウェイク腹臥位療法(n=567)または標準治療(n=559)にランダムに割り付けられた。1121人の患者(試験から脱落した5人を除く)がITT解析に含まれた。

■治療失敗は、腹臥位療法群564人のうち223人(40%)、標準治療群557人のうち257人(46%)に発生した(相対リスク0.86[95%信頼区間0.75-0.98])。登録後28日以内に腹臥位療法をおこなった場合、標準治療と比較して気管挿管のハザード比は0.75(95%信頼区間0.62-0.91)、死亡のハザード比は0.87(95%信頼区間0.68-1.11)だった。事前に指定した有害事象の発生率は低く、両群で同様であった。





by otowelt | 2021-08-24 06:29 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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