CLEAN AIR研究:COPDにおけるHEPAフィルター付き空気清浄機の効果

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HEPAフィルターは、JIS規格で定格風量で粒径が0.3 µmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもち、初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つフィルターのことです。色々な製品があります。

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. HEPAフィルター(Wikipediaより)

ちなみに新型コロナでもHEPAフィルター付き空気清浄機は効果的とされています(Infect Control Hosp Epidemiol . 2021 Jun 24;1-6.)。室内の空気中を漂うエアロゾルに含まれる新型コロナウイルスの不活化の半減期は1.1時間と考えられており、換気をしない密な環境であれば活性のあるウイルスが漂うことになります。

空気感染の定義を再考するべきかどうかが議論の俎上に載っていますが、センシティブな派閥もあるためここでは触れません。


Hansel N, et al. Randomized Clinical Trial of Air Cleaners to Improve Indoor Air Quality and COPD Health: Results of the CLEAN AIR STUDY. Am J Respir Crit Care Med . 2021 Aug 27. doi: 10.1164/rccm.202103-0604OC.

■屋内の粒子状物質は、COPDの転帰の悪化と関連している。室内汚染物質の削減が呼吸器疾患のQOLや症状を改善するかどうかはまだ不明である。

■中等症~重症のCOPDの既喫煙者を対象に、携帯型HEPAフィルター付き空気清浄機またはシャム空気清浄機を設置し、6ヶ月間追跡調査を行ったランダム化比較試験である。主要評価項目は、SGRQスコアの6ヶ月間の変化とした。副次評価項目は、COPD増悪リスク、呼吸器症状、レスキュー薬の使用、6分間歩行距離とした。

■116人の被験者がランダム化され、そのうち84.5%が試験を完遂した。SGRQの総スコアには統計的に有意差はなかったが、空気清浄機群は SGRQの症状サブスケール(β -7.7 [95%信頼区間-15.0~-0.37])と呼吸器症状(BCSS, β -0.8 [95%信頼区間-1.5~-1.0])の減少が大きかった。 中等度の増悪(率比0.32 [95%信頼区間0.12-0.91])、レスキュー薬の使用(率比0.54 [95%信頼区間0.33-0.86])もシャム空気清浄機軍より少なかった(p<0.05)。per protocol解析では、SGRQスコア(β-4.76 [95%信頼区間-9.2~-0.34])、中等度の増悪、BCSS、6分間歩行距離に有意差がみられた。屋内で過ごす時間が長い参加者ほど、治療効果が得られる可能性が高かった。





by otowelt | 2021-09-09 00:14 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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