フェイスマスク装着は「呼吸困難」がしんどい

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当然と言えば当然なのですが、フェイスマスクをつけると、呼吸困難が煩わしいと感じさせる要因であることが分かりました。この研究では、慢性呼吸器疾患の家族がいる場合に、マスクに関連した呼吸困難を表現する際「恐怖」を選択する頻度が高いことが示されました(16.8% vs. 7.6%、p = 0.012)。また、同家族がいる場合、安静時や運動時の呼吸困難と独立して関連していました。すなわち、誰かが呼吸が苦しいというのを見ていると、軽い刺激で呼吸困難を訴えやすいということが分かります。実際にそういうデータも存在します(Eur Respir J 2018: 51、Respir Physiol Neurobiol 2012: 180: 218-222.)。



Serresse L, et al. Lifting dyspnoea invisibility: COVID-19 face masks, the experience of breathing discomfort, and improved lung health perception - a French nationwide survey. Eur Respir J . 2021 Sep 2;2101459.

  • 概要
■われわれは、SARS-CoV2の拡散を防ぐためにフェイスマスクを一般的に使用することで、コロナ禍を変え、人々が呼吸器系の健康に敏感になっているのではないかという仮説を検証した。

■フランスの世論調査(1012人:女性517人[51%]、860人(85%)が慢性呼吸器疾患の治療を受けていないと回答、152人が受けていると回答)。慢性呼吸器疾患がない回答者の14%は、近親者に慢性呼吸器疾患の治療を受けた人がいると答えた。アンケート回答者は、マスクに関連する考え方、不便さ、呼吸困難、呼吸器系の健康観の変化について調査された。

■研究を通して、マスクの着用率は94.7%と高かった。マスクが不便である理由の第1位は呼吸困難であった(慢性呼吸器疾患がある回答者の79.3%、慢性呼吸器疾患がない回答者の67.3%、p=0.013)。感覚的な呼吸困難の記述としては「Air hunger(空気渇望感)」が多かった。マスクに関連した呼吸困難は、慢性呼吸器疾患が家族にいること(オッズ比1.85 [95%信頼区間1.16-2.98])、呼吸困難を改善するためにマスクを外すこと(オッズ比5.21 [95%信頼区間3.73-7.28])と独立して関連していた。また、他者を守るためにマスクが有効であると考えることとは負の関係にあった(オッズ比0.42[95%信頼区間0.25-0.75])。

■アンケート回答者の半数は、マスクを着用してから自分の呼吸器系の健康に関心を持つようになったと答え、41%は患者の気持ちがよくわかると答えた。





by otowelt | 2021-10-09 00:04 | 呼吸器その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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