OCEAN研究:日本人におけるPRISmの有病率
2021年 10月 03日
PRISmは、「Preserved Ratio Impaired Spirometry(1秒率が保たれている肺機能障害)」の略語で、1秒率がCOPDの基準を満たさないのに1秒量だけが低下している状態のことを指します。具体的には、1秒率≧70%かつ予測1秒量<80%の状態と定義されます。つまり、自身の努力性肺活量と比べた1秒量の割合には問題ないのですが、周囲の健康な人とくらべて1秒量が低い状態ということです。
■参考記事:呼吸器内科医が知っておきたい概念:PRISm(URL:https://pulmonary.exblog.jp/28617093/)
喫煙者におけるPRISmをいかに拾い上げるかが重要です。
- 概要
■OCEAN研究は、定期的に健康診断を受けている40歳以上の日本人を対象とした、観察的な横断研究である。参加者はスクリーニングのための質問票とスパイロメトリーを受けた。気流制限は、スパイロメトリーによる1秒率が0.7未満と定義され、PRISmは、1秒率≧0.7、予測1秒量<80%と定義された。主要評価項目は、スパイロメトリーに基づく気流制限とPRISmの有病率とした。副次的評価項目として、研究参加者の特性を報告した。
■2518人が対象となり、79%が60歳未満(平均52歳)であった。気流制限は52人(2.1%)、PRISmは420人(16.7%)に観察された。PRISm群の1秒量は、気流制限なし/PRISm群と気流制限群の間にあり、努力性肺活量はPRISm群と気流制限群で同等だった。PRISm群は、気流制限群と比較して肥満が多く、併存代謝性疾患の割合が高かった。気流制限とPRISmの有病率は、現喫煙者(3.9%、21.3%)が、既喫煙者や非喫煙者よりも高かった。
by otowelt
| 2021-10-03 10:25
| 気管支喘息・COPD