Rothia mucilaginosaは慢性呼吸器疾患の気道において保護的に作用する
2021年 11月 02日
感染症医なら聞いたことがある、Rothia mucilaginosa。日本語の呼び名として「ロシア」(国のロシアではない)や「ぬるぬる球菌」と呼ばれたりしますが、歯科領域~血液内科領域で目にするもので、呼吸器内科医にとってはなじみがありません。ムコイド型で、実際に培地がネバネバするそうです。過粘稠性のKlebsiellaでみるようなネバネバですね。
これがなんと、呼吸器系に保護的にはたらくという報告です。
- 概要
■慢性気道炎症は、重症喘息、COPD、嚢胞性線維症、気管支拡張症などの呼吸器疾患における原因となる。気道炎症における病原微生物の役割は広く認識されているが、認識されていない微生物の影響についてはまだ十分に理解されていない。
■本研究では、口腔内常在菌であり、慢性疾患の下気道でもしばしば検出されるRothia mucilaginosaが、in vitroおよびin vivo(マウスモデル)の両方で、病原体およびLPSによる炎症反応を抑制する効果があることを示した。
■気管支拡張症の成人コホートにおいて、Rothia spp.の量は、喀痰中の炎症性マーカー(IL-8、IL-1β)およびマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP-1、MMP-8、MMP-9)と負の相関関係にあった。
■R. mucilaginosaがIκB-αのリン酸化を抑制し、その結果、NF-κB標的遺伝子の発現を低下させることで、NF-κB経路の活性化を阻害することが明らかになった。
by otowelt
| 2021-11-02 00:00
| 感染症全般