メタアナリシス:MAC症に対するリファンピシン vs リファブチン
2021年 10月 08日
リファマイシン系は呼吸器内科医にとって使う頻度の高い薬ですが、意外と「作用機序は?」と聞いても知らない人が多いです。細菌のDNA依存性RNAポリメラーゼに作用してRNA合成開始を阻害します。DNA依存性なので細胞内へ入る必要がありますが、リファンピシンは脂溶性で細胞膜を通過しやすいので、ミコール酸でコッテリ背油な抗酸菌に効きやすいのです。ミコール酸の生合成を抑制するのがイソニアジド、デラマニドです。アラビノガラクタンというミコール酸との複合体を間接的に阻害するのがエタンブトールです。
リファブチンは、基本的にリファンピシンが副作用や薬物相互作用で使用できない場合に選択されます。リファンピシンと比較して、リファブチンは、半減期が長く、組織分布が広く、さらに細胞内に到達しやすいことから、倍速で抗酸菌を減らす作用があります。
リファブチンには、用量依存性のぶどう膜炎や血球減少など注意すべき副作用があります。クラリスロマイシンと併用すると血中濃度が上がりやすくなるため、注意が必要です。実臨床でリファマイシン系の薬剤に懸念されるのは消化器症状や肝障害です。ちなみに、肝障害の頻度は、リファブチンよりもリファンピシンのほうがやや多いとされています(Tuber Lung Dis. 1994 Oct;75(5):341-7.)。
なお、女性やウイルス性肝炎の患者さんではリファブチンの副作用が多くなることが示されています。リファブチンによる好中球減少は、女性のほうがかなり多いです(10.9% vs 3.8%)(J Antimicrob Chemother. 2014 Mar;69(3):790-6)。真実かどうかわかりませんが。
■Mycobacterium avium complex(MAC)に対する標準的治療レジメンはマクロライド系、エタンブトール、リファマイシン系であり、リファマイシン系ではリファンピシンとリファブチンが最もよく使われている。現行のガイドラインでは、MACの初期治療にリファンピシンを用いることが推奨されているが、リファンピシンはリファブチンよりも効果が低いという見解もある。
■2020年2月18日までに発表された文献をレビューした。統計解析は、Comprehensive Meta-Analysis Software Version 2.0 (Biostat, Englewood, NJ)を用いて行った。ランダム効果モデルにより、プールされた治療成功率と95%信頼区間を算出した。
■3665論文を検討し、組み入れ基準を満たす24件の研究を同定した。これらの研究のうち、リファブチンをレジメンに入れていたのは8件(リファブチン群)、リファンピシンをレジメンに入れていたのは16件(リファンピシン群)だった。プールされた推定治療成功率は、リファブチン群54.7%(95%信頼区間41.0~67.0%)、リファンピシン群67.5%(95%信頼区間55.7~77.4%)だった。出版バイアスは観察されなかった。
図. サブグループの治療成功率(文献より引用)

■本研究では、MAC治療において、リファブチンと比較してリファンピシンが同等の治療成功率を示した。正確なデータを知るためには、二重盲検の研究が推奨される。
by otowelt
| 2021-10-08 00:52
| 抗酸菌感染症