嚢胞性線維症に対する吸入トブラマイシン+経口アジスロマイシン

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気管は解剖学的に脆弱な組織であることから、吸入製剤を連続曝露させることで長期の悪影響が懸念されます。しかし、リポソームは脂質で構成されているため、安全性の懸念が極めて低いです。あわよくば、傷害された組織粘膜を修復する材料にすらなるかもしれません(これには異論がありますが)。

現在国内で販売されている唯一の吸入トブラマイシンであるトービイ吸入液(ノバルティスファーマ)は、「嚢胞性線維症における緑膿菌による呼吸器感染に伴う症状の改善」に対して保険適用されます。嚢胞性線維症を有さない、いわゆる特発性気管支拡張症の患者に対して使うことができる吸入抗菌薬ラインナップは現在何もありません。施設によっては、もしかするとアミノグリコシドをどうにかネブライザー吸入できるように工夫されているところがあるかもしれませんが、基本的に保険適用外であり、現状の保険診療では堂々と吸入抗菌薬を実施できないのが現状です。

呼吸器内科医をやっていると、無治療でよいと思う軽症の気管支拡張症から、慢性的に緑膿菌の感染による喀痰に苦しめられている重度の気管支拡張症まで幅広く診療します。やはり後者に対しては、どうにかしてあげたいと思うのが医師の性です。毎月のように緑膿菌性肺炎を繰り返し、何度も抗菌薬を点滴されている気管支拡張症患者を診ていると、どうにかできないものかとやきもきします。



  • 概要
■吸入トブラマイシンと経口アジスロマイシンは、嚢胞性線維症で緑膿菌の気道感染を起こした人によく用いられる慢性期治療法である。いくつかの研究では、アジスロマイシンがトブラマイシンによる緑膿菌の殺傷能力を低下させることが示されている。この試験は、すでに吸入トブラマイシンを使用している人を対象に、アジスロマイシンと吸入トブラマイシンの併用が臨床的・微生物学的アウトカムに及ぼす影響を検証することを目的とした。

■このランダム化プラセボ対照比較試験において、嚢胞性線維症で気道に緑膿菌が感染している人を対象に、アジスロマイシンあるいはプラセボの経口投与に吸入トブラマイシン併用を6週間にわたり検証した。

■4週間の吸入トブラマイシンを含めた合計6週間の治療期間において、1秒量の相対的変化量は統計学的に有意な差を示さなかった(アジスロマイシン(n=56)とプラセボ(n=52)の差:3.44%、95%信頼区間-0.48~7.35、p=0.085)。患者報告による症状スコア、体重、追加抗生物質の必要性などの副次的な臨床結果にも、有意差はなかった。ペアの喀痰サンプルを提出した29人のアジスロマイシン群と35人のプラセボ群では、緑膿菌濃度の変化はプラセボ群のほうが有利だった(差:0.75 log10 CFU/mL、95%信頼区間0.03~1.47、p=0.043)。

■緑膿菌密度の減少が大きかったにもかかわらず、プラセボにトブラマイシンを吸入した参加者は、アジスロマイシンにトブラマイシンを吸入した参加者と比較して、肺機能やその他の臨床転帰に有意な改善は見なかった






by otowelt | 2021-12-27 00:58 | 呼吸器その他