
かなり小規模な試験ですが、凍結時間が長いほど、検体サイズは大きくなるのは当然です。しかし、それに関連して出血のリスクも高くなることが示されました。そのため、凍結時間は4秒程度でよいのではないかという報告がありました。
- 概要
■経気管支クライオバイオプシー(TBCB)は、クライオプローブを用いて肺組織の標本を得る新しい方法であり、挫滅アーチファクトのない大きな肺生検を得ることができる。TBCBの凍結時間は、これまでの研究では経験的に3~7秒に設定されていた。しかし、TBCBで使用する最適な凍結時間については、まだコンセンサスが得られていない。
■主要評価項目は、異なる凍結時間における生検サイズであった。副次的評価項目は、凍結時間の違いによる試料の組織学的クオリティ、診断の信頼性、合併症とした。
■本研究では、評価のために病理組織学的検査を必要とするびまん性肺疾患が疑われた患者を登録した。凍結時間を3秒から6秒の間で順次変更し、別々の生検を行った。検体は2人の外部の病理専門医医によって検討された。
■合計33人の患者が登録され、143件のTBCBが行われた。各患者から平均4.33個の検体が採取された。凍結時間が3秒→6秒における平均生検サイズは、3秒:9.10±4.37mm2、4秒:13.23±5.83mm2、5秒:16.26±5.67mm2、6秒:18.83±7.50mm2であった。すなわち、凍結時間と生検サイズには強い相関関係が認められた(r = 0.99, p < 0.01)。生検サイズは、凍結時間が3秒 vs 4秒(p<0.01),4秒 vs 5秒(p=0.02)では統計的に有意な差が認められたが、凍結時間が5秒 vs 6秒(p=0.10)では認められなかった。凍結時間が3→6秒の場合の出血は、3秒:53.33%,4秒:67.50%,5秒:89.47%,6秒:77.14%であった。凍結時間が4秒を超えると有意に高い出血が観察された(相対リスク1.67, p < 0.01)。気胸は4人(12.12%)に発生した。TBCB後25日目に1例の致死症例(3.03%)が報告された。31人(93.94%)の患者の病理組織学的所見は、CRP診断を確定するのに十分と判断された。凍結時間の違いによる診断信頼度の統計的な有意差はなかった。