重症肺MAC症に対するリファンピシン・エタンブトール・マクロライド・アミカシン・クロファジミン5剤併用療法

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現在肺MAC症の治療として推奨されているのは、リファンピシン、エタンブトール、マクロライド(アジスロマイシンが望ましい)の併用で、重症例についてはアミカシンを併用することもあります。ハンセン病の治療薬であるクロファジミンは、肺アブセッサス症で用いられることがありますが、肺MAC症についてはリファマイシンの代替になりうるという報告もあります。

クロファジミンによる皮膚の副作用はかなり高い頻度だと理解していたのですが、なぜかこの研究では1人のみしかいませんでした。

なかなかアグレッシブな研究です。



Zweijpfenning S, et al. Treatment of severe Mycobacterium avium complex pulmonary disease with adjunctive amikacin and clofazimine versus standard regimen alone: a retrospective study. ERJ Open Res . 2021 Nov 22;7(4):00466-2021.

  • 概要
■NTMクリニックにおいて、2013年から重症肺MAC症に対してリファンピシン・エタンブトール・マクロライドに加えてアミカシン、クロファジミンを加えた強化治療を行っている。アミカシンとクロファジミンを加えた場合の治療成績などを評価した。

■2007年1月~2017年1月にクリニックで治療を受けたマクロライド感受性肺MAC症の成人を対象に後ろ向きコホート研究をおこなった。患者はリファンピシン・エタンブトール・マクロライド併用群(REM群)とそれにアミカシン・クロファジミンを併用する群(REMAC群)の2群に分類された。アミカシンは初期投与量15mg/kgでTDMをおこないながら用量調節した。クロファジミンは1日1回100mgを投与した。アミカシンまたはクロファジミンのいずれか一方を投与された患者、またはアミカシンの使用期間が2週間未満の患者は、解析から除外した。

■主要評価項目は、喀痰培養陰性化までの期間および治癒(cure)であった(NTM-NET基準ではあるが、培養陰性化およびcureは3回連続ではなく2回の陰性と定義した)。

■44人が対象となった(REM群25人、REMAC群19人)。ベースラインの特徴は、性別、年齢、基礎となる肺疾患、喫煙歴、原因となるMAC亜種をみても、群間差はなかった。ただ、線維空洞はREMAC群でやや多かった(REMAC群79%、REM群48%、p=0.062)。

■治療期間中央値、REM群63週間、REMAC群69週間だった。REMAC群のアミカシン使用期間は平均11.1±5.9週間だった。

■REM群では13人(52%)の患者が微生物学的治癒にいたったが、REMAC群では14人(74%)の患者が治癒にいたった。臨床的治癒を達成した患者は、REM群7人(28%)、REMAC群の3人(16%)だった。REMAC群の4人が代替治療を受けたためそれを除いたサブグループ解析では、微生物学的治癒率は両群で有意差がなかった(REM群52%、REMAC群73%、p=0.488)。再発は、REM群の20%、REMAC群の11%に発生した。

■有害事象はREMAC群で84%と多く、REM群では56%だった(p=0.046)。難聴はREMAC群で37%、耳鳴りは42%に報告されたが、REM群ではなかった。副作用による治療法の変更はREMAC群で多く、REMAC群では19人中10人、REM群では25人中5人に発生した(p=0.03)。アミカシンを中止した主な理由は耳毒性であった。








by otowelt | 2021-11-28 00:38 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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