フルチカゾンプロピオン酸エステルとブデソニドの肺炎リスクの違い

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ICSの全身性の副作用として長らく議論されているのが「肺炎」です。過去90日以内にICSを処方されていない喘息患者さんと比較すると、ICSを使用している患者さんでは用量依存的にICSによる肺炎のリスクが上昇すると報告されています(Chest. 2013; 144(6) : 1788-94.、Br J Clin Pharmacol. 2017; 83(9) : 2077-86.)

ランダム化比較試験では肺炎のリスクを減少させ、観察研究では肺炎のリスクを上昇させるという、ちぐはぐなメタアナリシス結果も報告されています(Acta Med Acad. 2015; 44(2) : 135-58.)。

今回の研究は、フルチカゾンプロピオン酸エステルがブデソニドより肺炎リスクがちょっと高いという、これまでの報告を支持するものでしたが、レセプトベースということもあって、ベースラインの肺炎発症率がかなり高い報告になっていますね。



Choi J, et al. Comparison of Risk of Pneumonia Caused by Fluticasone Propionate versus Budesonide in Chronic Obstructive Pulmonary Disease: A Nationwide Retrospective Cohort Study. Int J Chron Obstruct Pulmon Dis . 2021 Nov 25;16:3229-3237.

  • 概要
■吸入ステロイド(ICS)はCOPDの増悪リスクを低下させる上で重要な役割を持っている。ただし、ICSは肺炎のリスクを高めることが知られている。先行研究では、ICSの種類によって肺炎の発生率が異なることが示されている。本研究では、ICSの種類に応じた肺炎リスクを、集団ベースのコホートで調査した。

■韓国国民健康保険サービスのレセプトデータを用いて、後ろ向きコホート研究を行った。新たにCOPDと診断され、フルチカゾンプロピオン酸エステルまたはブデソニドが処方された患者を研究対象として登録した。ICSの累積投与量をカテゴリー変数に分類し、同一のICS投与量内での肺炎リスクを分析した。

■47,473人の被験者が特定され、1:1の傾向スコアマッチングにより、14,518人のフルチカゾンプロピオン酸エステル使用者と14,518人のブデソニド使用者に分けられた。フルチカゾンプロピオン酸エステル使用者は、ブデソニド使用者よりも肺炎を発症する確率が高かった(14.22% vs 10.66%、p<0.0001)。10万人年あたりの発症率は、フルチカゾンプロピオン酸エステル使用者で2,914.77、ブデソニド使用者で2,102.90だった。ブデソニドと比較したフルチカゾンプロピオン酸エステルの肺炎のハザード比は1.34(95%信頼区間1.26-1.43、p<0.0001)だった。ブデソニドと比較したフルチカゾンプロピオン酸エステルの肺炎リスクは、ICS累積投与量が多いほど上昇した。肺炎リスクは、ICSの累積投与量が多いほど増加した(ハザード比1.06[95%信頼区間0.93-1.21]→1.41[95%信頼区間1.19-1.66]→1.41[95%信頼区間1.23-1.63]→1.49[95%信頼区間1.33-1.66])。







by otowelt | 2022-01-22 00:02 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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