
基本的に日本では、結核病棟に入る間は強制的に禁煙しなければいけないので、短期的な禁煙達成率は高いのですが、帰宅すると吸い始める人も少なくありません。これはアルコールも然りです。退院祝いでお酒を飲んで、抗結核薬による肝障害かアルコール性肝障害か鑑別が難しくなります。
Siddiqi K, et al. Effect of quitting smoking on health outcomes during treatment for tuberculosis: secondary analysis of the TB & Tobacco Trial. Thorax . 2022 Jan;77(1):74-78.
- 概要
■疾患の治療をしているにもかかわらず、喫煙する結核患者は、非喫煙者に比べて一般的に予後が悪い。しかし、結核治療中の6ヶ月間に禁煙することで、結核のアウトカムが改善されるかどうかは不明である。
■TB & Tobacco Trialは、バングラデシュとパキスタンの肺結核患者2472人を対象に、禁煙のためにピリジンアルカロイドであるシチシンを評価したランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験である。二次解析において、禁煙が結核治療期間中の患者の健康アウトカムを改善するという仮説について検討した。
■アウトカムは、8段階の結核臨床スコア、喀痰陰性化率、胸部X線写真のグレード、QOL(EQ-5D-5L)、結核治癒+治療完遂率、結核再発率などとした。回帰分析により、禁煙した人としなかった人で比較された。
■試験参加者2273人(92%)のデータを分析した。全体として、参加者の25%(577人/2273人)が禁煙した。禁煙した人は、しなかった人に比べて、結核治癒+治療完遂率が高く(91% vs 80%、p<0.001)、結核再発率が低かった(6% vs 14%、p<0.001)。禁煙者では、9週目の喀痰陰性化率が高く(91% vs 87%、p=0.036)、平均結核臨床スコアが低く(-0.20点、95%信頼区間-0.31~-0.08 、p=0.001)、6ヶ月目のQOLもわずかに良好だった(平均 EQ-5D-5L 0.86 vs 0.85 、p=0.015)。QOLを除く評価項目は、ベースライン値、ランダム化割り付け群、結核治療アドヒアランス率で調整しても、統計的に有意なままであった。