抗酸菌分離培養:PANTAについて


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■液体培地は、Middlebrook 7H9 BrothをベースにしているBDバクテックMGIT(ベクトン・ディッキンソン[BD])(用手的MGIT含)やBACT/ALERT 3D(シスメックス・ビオメリュー)(自動培養システム)などがあります。MGITの分離培養剤が今年欠品にいたりました。現在は回復しているようですね。

補足:2021年秋、BD ミジット分離培養剤 (BD バクテックMGIT960 サプリメントキット)欠品により、液体培養実施が危ういという状況に一時陥りました。COVID-19ワクチン製造増加に伴い、一部の部材供給不足による本製品の製造遅延が生じており、さらに原材料供給元でCOVID-19のアウトブレイクが生じたことにより停電で操業できずに製造遅延が起こったためです。

■抗酸菌は、他の混在菌よりもNaOHに対して強い抵抗性を有するため、過去4%NaOHによる前処理をおこなってきましたが、抗酸菌もそれなりにダメージを受けます。液体培地の増殖支持力はこれまでにも認められてきましたが、汚染の問題のほうが重視されたことから、わが国ではなかなか導入されませんでした。

■たとえば、2%NaOHに半減した状態で、複合抗菌薬(PANTA)を加えることで雑菌汚染率を3%以下に抑えることが可能です。PANTAは、ポリミキシンB(6000単位/本)、アムホテリシンB(600µg/本)、ナリジクス酸(2400µg/本)、トリメトプリム(600µg/本)、アズロシリン(600µg/本)のP・A・N・T・Aの頭文字です。ペニシリン系、キノロン系など幅広く加えられていることがわかります。MGITサプリメントとMGIT PANTAを添加した培養液は抗酸菌の培養に最適な液体培地の1つです。寒天培地だけでなく液体培地でもPANTA添加が有効であることが明らかにされたことから、現在も国際的に広く用いられています。

■汚染防止PANTAサプリメントは、抗酸菌回収率には悪影響を及ぼさないことが分かっていますが(PLoS One. 2020; 15(4): e0230927.)、アムホテリシンBとナリジクス酸に関しては、もともと結核菌に対して抑圧的に作用する可能性があります。そのため真の偽陰性率はまだはっきりとしていません。





by otowelt | 2021-12-30 00:16 | 抗酸菌感染症