抗線維化薬を中止するとIPFの努力性肺活量低下はどうなるか?


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最近は抗線維化薬の併用という知見も出始めていますが、副作用がやはりきつめではあります(Respir Investig. 2021 Nov;59(6):819-826.)。75歳以上では46.4%がニンテダニブ中止にいたっているという国内の報告もあり(Respir Investig. 2021 Jan;59(1):99-105.)、ある程度若年層への投与が主体となってしまう傾向にあります。




  • 概要
■疾患進行が認められるIPF患者において、抗線維化薬の継続、切り替え、中止の影響に関する縦断的なデータが必要である。

■努力性肺活量(FVC)が低下している状況で、抗線維化薬を継続使用すると、中止した場合と比較して、将来のFVC低下が少なく、FVC低下・肺移植・死亡の複合アウトカムのリスクが低くなると仮定した。

■抗線維化薬を投与された6ヶ月間のFVC低下率が10%以上のIPF患者を対象に、カナダ肺線維症登録データを用いて多施設共同研究を実施した。治療の継続・切り替え・中止ごとのFVCのさらなる変化、およびその後6ヶ月間のFVC低下率≧10%・肺移植・死亡の複合アウトカムの関連を、線形回帰モデルおよびロジスティック回帰モデルを用いて評価した。

■165人の患者が抗線維化薬を受けている間、6ヶ月間にFVC≧10%の減少がみられた。抗線維化薬を継続した場合と比較して、FVC低下後に中止した場合、その後さらなるFVC低下(-207 mL 95%信頼区間-353 to -62、p = 0.005)、複合アウトカムのリスク増加(オッズ比 12.2、95%信頼区間1.2 to 130.5, p = 0.04)と関連していた。抗線維化薬を継続した場合と他薬へ切り替えた場合の差はなかった。






by otowelt | 2022-01-12 00:56 | びまん性肺疾患

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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