COPD増悪にアスペルギルスが与える影響

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COPDなどの慢性呼吸器疾患に対する感染症の研究を読む場合、選択バイアスが結構入るので注意が必要です。COPD増悪時の侵襲性肺アスペルギルス症が約10%という報告も最近ありましたが(Respir Res. 2021 Jun 9;22(1):176.)、実臨床でそこまで多いとは感じません。

ただ、気道にアスペルギルスが定着している場合、それが将来的なCOPD増悪のリスクになるとは言われており(Front Med (Lausanne) . 2021 May 4;8:640289.)、緑膿菌の検出も重要な予後予測因子であることから、COPD患者さんにおける喀痰検査には一定の重要性があると思います。



Mir T, et al. Mortality outcomes associated with invasive aspergillosis among acute exacerbation of chronic obstructive pulmonary disease patient population. Respir Med . 2021 Dec 21;191:106720.

  • 概要
■COPDの増悪(AECOPD)におけるアスペルギルス症感染症の死亡率等のデータは限られている。
■全米人口の95%以上を占めるサンプルのうち49.1%を占める全米再入院データベース(NRD)のデータを用いて、AECOPDのアスペルギルス症による入院について解析した。AECOPDにおけるアスペルギルス症関連予測因子と傾向を評価した。
■2013~2018年のNRDにおいて、AECOPDの総検索入院件数728万2644件(平均年齢69.17±12.04歳、女性55.3%)のうち、侵襲性アスペルギルス症を主病名とする8209件(11.2/1万件)が計上された。侵襲性アスペルギルス症は、AECOPDの死亡率と強く関連していた(オッズ比4.47、95%信頼区間4.02-4.97、p < 0.001)。AECOPD患者におけるアスペルギルス症発症の主な予測因子は、悪性腫瘍と臓器移植だった。
■侵襲性アスペルギルス症-AECOPD群は、ACS(3.7% vs 0.44%、p<0.001)、AF(20% vs 18.4%、p<0.001)、PE(4.79% vs 1.0%、p<0.001) 、AKI(22.3% vs 17.5%、p<0.001)、ICU入室(16.5% vs 11.9%、p<0.001)、人工呼吸器装着(22.3% vs 7.31%、p<0.001)を含む多臓器合併症の割合がより高いことが示された。

■アスペルギルス症の死亡率の絶対的な年次推移は安定していたが、侵襲性アスペルギルス症-AECOPDの年次推移は2013年の15件/10,000から2018年の9件/10,000に減少していた。


by otowelt | 2022-01-14 00:20 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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