メタアナリシス:結核に対する高用量リファマイシン
2022年 01月 28日
高用量リファマイシンは抗酸菌診療の世界ではよく議題になります(American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, Vol. 187, No. 10 (2013), pp. 1127-1134.)。今回のメタアナリシスでは、基本的に医学的意義はなさそうという結果でした。プライマリはSAEをみたメタナアリシスですが、培養陰性化や再発にも影響がなかったとすると、これまでの希望が・・・。
Velásquezらの報告(Am J Respir Crit Care Med . 2018 Sep 1;198(5):657-666.)では、「ガゼン高用量推し」でしたので、もう少し世の動向を見守りましょう。RFPがキードラッグの抗酸菌感染症、たとえばM. kansasiiの高用量RFPとか、面白そうなテーマかなと思ったのですが、菌陰性化率が高い疾患なので、有意差は出なさそうですね。
- 概要
■結核治療において高用量リファマイシン(HDR)レジメンを使用することに関心が高まっているが、HDRレジメンの安全性と有効性は依然として不明である。われわれは、HDRレジメンと標準用量リファマイシン(SDR)レジメンを比較するシステマティックレビューおよびメタアナリシスをおこなった。
■MEDLINE、Embase、CENTRAL、Cochrane Database of Systematic Reviews、clinicaltrials.govを検索し、HDRとSDRを比較した前向き研究をおこなった。リファマイシンには、リファンピシン、リファペンチン、リファブチンが含まれた。主要評価項目は重度有害事象(SAE)の発生率で、副次評価項目は死亡、全有害事象、臓器別SAE、有効性評価項目は2ヶ月後の培養陰性化と再燃とした。
■合計9057の論文を確認し、6168人・7930人年を含む13件の研究が含まれた(HDR:3535人、4387人年、SDR:2633人、3543人年)。プールされたSAE発生率比(IRR)はHDRとSDRで有意差はなかった(IRR 1.00, 95%信頼区間0.82 to 1.23, I2=41%)。また、SAEを薬物関連の可能性があるものに限定した場合(IRR 1.07, 95%信頼区間0.82 to 1.41, I2=0%)、バイアスリスクの低い試験(IRR 0.98, 95%信頼区間0.79 to 1.20, I2=44%)、リファンピシンを使用した試験(IRR 1.00, 95%信頼区間0. 0.75-1.32, I2=38%)でも有意差が確認されなかった。なお、死亡、2ヶ月後の培養陰性化、再発のアウトカムに有意差はなかった。
by otowelt
| 2022-01-28 00:07
| 抗酸菌感染症