IP-10・MIGはQFT判定保留における検査精度向上に寄与


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IFN-γ-inducible protein of 10 kDa(IP-10)やmonokine induced by IFN-γ(MIG)は、その名の通りIFN-γにより誘導されるケモカインで、Th1細胞上に多く発現しているCXCR3を共有受容体とし、炎症にTh1細胞を遊走させます。

M. kansasii症を含む肺NTM症コホートにおいて、IP-10陽性率13%と報告されており(このコホートではQFT陽性率12%、T-SPOT陽性率15%)、MIGは結核性疾患のほうが肺NTM症より有意に高値であることが示されています(Eur Respir J. 2014; 44: 2604)。

「QFT判定保留」、すなわち「原則陰性だが測定対象の感染危険の度合いを考慮して判断する」という概念は、QFT-2Gが承認されてから、できるだけ接触者健診の見逃しを小さくする日本独自の基準でした。QFT-3Gでも引き継がれましたが、QFT-Plusは高い感度・特異度を有する上、海外における判定基準には判定保留がないため、QFT-Plus導入時に判定保留はなくなりました。

QFT-Plusは、現在陽性・陰性・判定不可の3通りで、この判定基準で薬事承認を受けています。QFT-Plusの測定値がQFT-3Gにおける判定保留相当(0.1以上0.35未満IU/mL)であった場合、判定は陰性ですが、総合的な判断が必要になります。フワッとした部分を残しているわけですね。


  • 概要
■結核感染のスクリーニング検査には、しばしばQFT検査が含まれる。これまでの研究で、QFTの結果がカットオフ値よりわずかに低く陰性とされる、いわゆる判定保留(ボーダーライン)の患者の2/3は、それでも結核感染の何らかの根拠を有していることが示されている。本研究の目的は、結核感染によるQFT判定保留を検査的な変動と鑑別するためのバイオマーカープロファイルを同定することである。

■3病院で、QFT結果が判定保留(≥0.15かつ<0.35 IU/mL)、陰性(<0.15 IU/mL)、陽性(≥0.35 IU/mL)の患者のQFT上清を収集した。超磁性ビーズベースのマルチプレックスアッセイを用いて、48種類のサイトカイン、ケモカイン、成長因子を分析した。LASSO回帰を用いて予測モデルを構築した。

■195人の患者のQFT検体を採取し、分析した。抗原刺激管内のCXCL10/IP-10、CXCL9/MIG、IL-1raはそれぞれ、QFT陰性者と比較してQFT陽性者で有意に高かった(p<0.001)。IFN-γ-inducible protein of 10 kDa(IP-10)やmonokine induced by IFN-γ(MIG)に基づく予測モデルは、QFT陽性者とQFT陰性者の非感染者の識別能に高い精度を示した(感度/特異度:1.00 [95%信頼区間0.79-1.00]/0.95 [95%信頼区間0.74-1.00] )。このモデルにより、QFT判定保留の87人のうち68%で結核感染が予測された。






by otowelt | 2022-02-28 00:53 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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