リファンピシン関連Clostridioides difficile感染症に対して約半数でリファンピシン再投与が可能


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たまには自分の論文でも紹介してみます。この論文、実は10年前に80例ほど集めて投稿したがリジェクトされたもので(当時症例対照研究デザインにしたが考察も甘かった)、その後さらに症例を加えて別の雑誌に再投稿したものです。『労力を無駄にしないための 臨床研究テーマの選び方:論文執筆マニュアルを開く前に読みたい没ネタ回避術』のような、「論文頑張ろうぜ」という本が最近増えてきて、そういうムードにも助けられた感はあります。

これは、結核病棟におけるリファンピシン関連Clostridioides difficile感染症(CDI)に対するリファンピシン再投与の可能性を模索した後ろ向き観察研究です。標準レジメンで結核治療を始めた後にCDIを発症すると、リファンピシン再投与は回避されがちです。これにより、治療期間が長くなることや、ベストな治療が提供できない可能性があります。

なぜリファンピシンが原因かというロジックとして、①過去90日以内の一般抗菌薬およびアミノグリコシドやキノロンによる結核初期治療を除外、②イソニアジド・ピラジナミド・エタンブトールは腸内細菌叢に影響を与えないためCDIの原因にならない、が挙げられます。

リファンピシンが使えないと、HEZ、HE、HELなどの治療レジメンになりますが、場合によっては18ヶ月以上になります。ダフクリアが使用されることが増えてきましたので、より結核治療においてリファンピシンをより使えるよう努力する必要があります。


Kurahara Y, et al. The feasibility of rifampicin Re-administration in patients with tuberculosis and Clostridioides difficile infection. J Infect Chemother. 2022 Jan 17;S1341-321X(21)00368-8.

  • 概要
■リファンピシン(RIF)の投与がClostridioides difficile感染症(CDI)に及ぼす影響についてはこれまで検討されておらず、RIFの再投与が可能かどうかについては現在のところコンセンサスが得られていない。

■リファンピシン(RIF)の投与がRA関連Clostridioides difficile感染症(RA-CDI)と臨床アウトカムに与える影響を調べるとともに、RIF再投与の実現可能性を検討した。

■過去22年間の結核病棟入院患者1万1230人のうち、CDIを発症したのは156例だった(1万人日あたり2.1例)。 前医を含め90日以内に一般抗菌薬を使用された症例、結核にアミノグリコシドあるいはキノロンを使用された症例を除外し、86人がリファンピシン関連CDIと診断された(イソニアジド、エタンブトール、ピラジナミドは腸内細菌叢にほぼ影響を与えない)。 28人(32.6%)にRIFの再投与を行った。再投与群では、初回喀痰塗抹陰性化までの期間が、RIFを再投与されなかった患者よりも有意に短かった(42日[IQR:35-65] vs 55日[IQR:44-70]、p=0.041)。さらに、RIF再投与は入院期間を有意に短縮した(69日[IQR:66-82]vs 81日[IQR:72-89]、p=0.014)。10人(35.7%)でRIF再投与後にCDIを再発した。15人(53.6%)の患者は、RIFレジメンを含む結核治療を継続することが可能であった(結核病棟からの退院を確認)。

■limitation:ランダム化を行っていませんので再投与に関しては、全身状態が良い結核患者などの強い選択バイアスがかかっています。ゆえに微生物学的な有意差はそれを見ている可能性があります。





by otowelt | 2022-01-26 00:08 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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