肺MAC症に対する低用量エタンブトール

肺MAC症に対する低用量エタンブトール_e0156318_23025468.png

抗酸菌診療医にとっては重要な知見になりますね。125mg, 250mg錠なので、切り下げる手法をおこなうよう推奨されていますが、その戦略の妥当性が示された形になります。

韓国におけるエタンブトールによる視神経症の頻度は0.7%程度と考えられ、低用量にすることでその頻度が減るかもしれないとされていますが、15mg/kg/day以下という規定なのでそんなに低用量感はないなぁと思っていました(Int J Tuberc Lung Dis. 2016 Feb;20(2):261-4.)。

視神経症の懸念も減らしつつ、効果も担保できるのであれば、日本の手法は意外と良いものかもしれません。




■肺Mycobacterium aviumおよびMycobacterium intracellulare症の治療には、多剤併用化学療法が推奨される。エタンブトールはマクロライド耐性を抑制することが証明されているが、視神経障害を懸念してエタンブトールの投与量が減らされることがある。われわれは、低用量エタンブトールが治療成績に影響を与えるかどうかを評価した。

■2016~2020年に少なくとも12ヶ月間治療された患者を後ろ向きに収集した。培養陰性化率、微生物学的治癒、有害事象、マクロライド耐性、肺MAC症再発などの臨床アウトカムを、エタンブトール1日投与量に応じて比較した。

■146例中12.5 mg/kg/日を超えるエタンブトール用量を投与された患者は42例、それ以下の用量を投与された患者は104例だった。125例が培養陰性化し、90例が微生物学的治癒を達成した。微生物学的治癒を達成した患者のうち16例に再発が確認された。マクロライド耐性はみられず、エタンブトールの高用量群と低用量群の培養陰性化率(p=1.00)または微生物学的治癒(p= 0.67)に有意差は観察されなかった。

■喀痰塗抹陽性は、培養陰性化の調整オッズ比の低下と関連していた(調整オッズ比0.48、95%信頼区間0.29-0.80)。微生物学的治癒の低調整オッズ比は、喀痰塗抹陽性(調整オッズ比0.52、95%信頼区間0.37-0.74)および間欠的レジメン使用(調整オッズ比0.60、95%信頼区間0.41-0.87)と独立して関連していた。

■エタンブトールの1日投与量は、いずれの予後因子としても同定されなかった。視神経障害は、高用量エタンブトール群の7.1%、低用量エタンブトール群の1.0%にみられた(P = 0.07)。






by otowelt | 2022-02-08 00:50 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優