喘息における経口ステロイドの副作用リスク

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萩野先生の言葉を借りるなら、全身性ステロイドを使うなら居合い抜きのようにして使うことが理想ですが、たとえ短期間の経口ステロイド(OCS)使用であっても、敗血症、静脈血栓症、骨折のリスクが高くなることが示されています(BMJ.2017;357:j1415)。

1年間にOCSが適用された回数を1~3回と4回以上で分けた場合、4回以上の群で骨粗鬆症や消化性潰瘍などの副作用リスクが有意に上昇することが示されています(J Allergy Clin Immunol.2018;141:110-6.)。

なので、できればOCSを使わずに喘息を管理したいわけで、吸入アドヒアランスのサポートに全力入魂し、2型炎症がからむ喘息は生物学的製剤でOCSを回避するよう対処したいところです。



Skov IR, et al. Low dose oral corticosteroids in asthma associates with increased morbidity and mortality. Eur Respir J . 2022 Feb 10;2103054.

  • 概要
■重症喘息に対する長期経口コルチコステロイド(OCS)投与は重大な副作用を引き起こすことが知られているが、一般喘息集団における低用量被曝の影響に関する知見は限られている。われわれは、デンマークの国内の喘息集団においてこれを調べた。

■18~45歳の喘息薬使用者を1999~2018年の間にデンマークの国内登録で同定し、オープンコホートデザインで前向きに追跡調査した。OCS使用者と非使用者と1:4でマッチした。OCS使用と発症した併存疾患との関連をCox回帰により検討した。

■OCS使用者(30,352人)は非使用者(121,408人)と比較して、すべての調査アウトカムのリスクが増加した。累積用量が≦500mg(プレドニゾロン相当)から明らかな用量反応関係が確認された。ハザード比は骨折の1.24(95%信頼区間 1.18-1.30)から副腎不全の8.53(95%信頼区間3.97-18.33)までの範囲であった。

■喘息特異的死亡は、OCS使用者、非使用者でそれぞれ1000人年当たり0.15(95%信頼区間0.11-0.20)、0.04(95%信頼区間0.02-0.06)と概して低率であった。死亡率と予定外受診は、OCS曝露量の増加とともに増加した。


by otowelt | 2022-03-01 00:09 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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