過敏性肺炎に対する抗原回避と臨床転帰
2022年 03月 07日
nonfibrotic HPに対する抗原回避の効果は確信されますが、fibrotic HPについてはまだ議論の余地があるかと思います。有意ではありつつも、臨床的にどこまでインパクトがあるかというところでしょう。
fibrotic HPにおける抗原回避と生存の関係を調査した112人の研究では、約半数が抗原回避を報告し、そのうち41%が持続的な臨床アウトカムの改善を報告しています(Thorax 2018; 73(4): 391–392.)。
- 概要
■過敏性肺炎(HP)は、nonfibroticとfibroticのフェノタイプに分類される。nonfibroticは再発や線維化を伴うことが多く、fibroticは予後不良である。抗原回避は長い間、HP治療の第一選択だったが、予後への影響は報告されていない。
■ATS/JRS/ALATガイドラインの新診断基準によりHPと診断され、埼玉県の当院で治療を受けたHP患者121人の診療記録を後ろ向きに分析した。HPはnonfibroticとfibroticの表現型に分類され、6つのHPサブタイプ(夏型、鳥関連、家庭関連、職業性HP、加湿器肺、hot tub lung)に分類された。誘因物質への曝露低減の達成度は、HPサブタイプごとに完全抗原回避(CAA)と不完全抗原回避(IAA)に分けられた。
■nonfibrotic HP74人のうち、30人はCAAを達成し、再発も線維化の進展もなかった。残りの44人では、24人(54.5%)が再発および/または線維化の進展を経験した。fibrotic HP47人の5年死亡率は47.8%だった。これらの患者におけるHP関連死亡の予後予測因子は,気管支肺胞洗浄(BAL)中のリンパ球<50%、蜂巣肺だった。多変量解析では、IAAが生存率の低下と関連する傾向がみられた(ハザード比3.452,95%信頼区間0.964-12.359,p=0.057)。
by otowelt
| 2022-03-07 00:44
| びまん性肺疾患