認知症肺炎患者に対する人工呼吸管理は妥当か?
2022年 03月 24日
重度の認知症の患者さんにIMVを適用することは日本ではまれだと思いますが、NIVは忍容性がなくてそもそも装着してもらえない印象があります。酸素ですら外してしまうことがあるので、難しい問題です。
Teno J, et al. Survival and Health Care Costs with IMV vs. NIV in Dementia Patients Admitted with Pneumonia and Respiratory Failure. Ann Am Thorac Soc . 2022 Feb 10. doi: 10.1513/AnnalsATS.202110-1161OC.
- 概要
■侵襲的人工呼吸(IMV)は、進行認知症がある患者にとって負担となりうる。アメリカ、スペイン、カナダでは、認知症患者に対するIMVの使用が増加していることが研究で明らかにされている。
■非侵襲的換気(NIV)とIMVで治療された進行認知症患者のアウトカムと医療費を比較した。
■2015~2017年に肺炎、肺炎を伴う敗血症で入院し、NIVまたはIMVのいずれかの治療を受けた66歳以上の患者の後ろ向きコホート研究である。入院前1~120日の間にMinimum Data Set評価でADLに重度の障害を有する進行認知症患者が対象となった。臨床情報、Chronic Condition Warehouseなどにより傾向マッチされた。アウトカムは、退院後1年までの生存率と医療費とした。
■2015年から2017年の27,483件の入院のうち、12.5%がIMVによる治療を受け、8.2%がNIVを受けていた。傾向マッチされたモデルでは、NIVではIMVより30日死亡率が高かったが(58.7% vs 51.9%、p<=0.001)、1年死亡率はNIVと比較してIMVでむしろわずかに高かったため、生存率は長期に維持されなかった(86.5% vs 85.9%、p>0.05)。マッチ後の1年間の医療費は、NIVと比較してIMV治療群で高かった(平均57,122ドル vs. 33,696ドル、p<.001)。
by otowelt
| 2022-03-24 00:46
| 集中治療