気管支鏡におけるミダゾラムの脱抑制の頻度
2022年 03月 15日
鎮静不足でワーっとなっているのか、脱抑制なのかの判断は結構難しい判断になるかと思います。ミダゾラムの量が少なければ脱抑制にいたるリスクは少ないものの、EBUS-TBNAではある程度鎮静をかけないとしんどい、というジレンマがあります。
- 概要
■鎮静剤を使用する気管支鏡検査では、時に脱抑制を経験することがある。しかし、気管支鏡検査中の脱抑制に関するデータは乏しい。われわれは、ミダゾラムを用いた気管支鏡検査時の脱抑制の有病率と特徴を検討した。
■この後ろ向き研究は、2019年11月から2020年12月までに気管支鏡検査を受けた連続患者を分析したものである。脱抑制の重症度は、軽度:補助者による抑制を必要とすることがある、中等度:補助者による抑制を常に必要とする、重度:気管支鏡検査を継続するためにフルマゼニルによる鎮静の拮抗を必要とする、と定義された。
■ミダゾラムを用いて鎮静を行った対象患者251人のうち、36人(14.3%、95%信頼区間10.5~19.2%)、42人(16.7%、95%信頼区間12.6~21.8%)、7人(2.8%、95%信頼区間1.4~5.6%)がそれぞれ軽度、中度、重度の脱抑制を経験した。うつ病(オッズ比 2.77; 95%信頼区間 1.20-6.41),EBUS-TBNA(オッズ比10.23; 95%信頼区間1.02-103.01、ブラシや観察を対照とした場合),およびミダゾラム追加投与(オッズ比1.20; 95%信頼区間1.02-1.42,1mg増加するごとに)は中等度~重度の脱抑制の独立因子だった。
■中等度の脱抑制を経験した患者は、気管支鏡検査中の不快感に関して有意に良好なスコアを報告していた。気管支鏡検査中の収縮期・拡張期最高血圧のほか、気管支鏡検査中の血行動態・呼吸動態の変化や合併症は、中等度から重度の脱抑制を経験している患者とそうでない患者で有意差は観察されなかった。
by otowelt
| 2022-03-15 00:06
| 気管支鏡