システマティックレビュー:COPDにおける緑膿菌がもたらすリスク

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呼吸器内科医をやっていると、慢性的に緑膿菌の感染による喀痰に苦しめられている患者をよく診療します。どうにかしてあげたいと思うのが医師の性です。慢性呼吸器疾患の患者さんが保菌する緑膿菌はムコイド型であったり抗菌薬に耐性があったり、なかなか根絶することができません。



Martinez-García M, et al. Long-Term Risk of Mortality Associated with Isolation of Pseudomonas aeruginosa in COPD: A Systematic Review and Meta-Analysis. Int J Chron Obstruct Pulmon Dis . 2022 Feb 16;17:371-382.

  • 概要
■COPDでは慢性気管支炎が頻発するが、呼吸器検体中の病原性微生物、特に緑膿菌の分離がCOPDの予後に及ぼす影響についてはよく分かっていない。

■安定期および増悪期のCOPD患者の喀痰から緑膿菌が分離された場合の予後に関するシステマティックレビューをおこなった。主要なアウトカムは、全死因死亡、呼吸器疾患による死亡、将来の増悪回数と重症度とした。

■2773件の研究のうち、最終的に8件が組み入れられた(2万3228人)。平均年齢は65.5~73歳であった。6つの研究で全死因死亡のデータが報告されていた。死亡リスクは、緑膿菌が分離された患者ではほぼ2倍であった(ハザード比1.95、95%信頼区間1.34~2.84:エビデンスレベルは中程度)。緑膿菌が分離された患者では、退院後30日目の再入院リスクが3倍高く(オッズ比3.60、95%信頼区間3.60~12.03:エビデンスレベルは低)、2年目の死亡および入院のリスクが2倍以上高かった(ハザード比2.80、95%信頼区間2.20~3.56:エビデンスレベルは非常に低い)。






by otowelt | 2022-03-20 00:12 | 呼吸器その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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