5-アミノレブリン酸(ALA)は悪性腫瘍や細菌に取り込まれることで、光感受性物質であるプロトポルフィリンIXに変化し蓄積します。プロトポルフィリンIXにたとえば410nmの波長の光線を照射すると、活性酸素が発生するため腫瘍細胞や細菌が死滅するとされています。
感染症の領域では、MRSA(PLoS One. 2014 Aug 20;9(8):e105173.)や緑膿菌(J Dermatol Sci. 2018 Jun;90(3):323-331.)に対するPDTが報告されています。
呼吸器領域で使うことはなさそうですが。
Yue C et al. In vitro study of the effect of ALA-PDT on Mycobacterium abscessus and its antibiotic susceptibility. Photodiagnosis Photodyn Ther. 2022 Mar 13;102802.
- 概要
■Mycobacterium abscessusによる皮膚感染症は、臨床では非常に難治性である。PDT(光線力学的療法)は新しい抗菌治療法として期待されている。本研究では、5-アミノレブリン酸(ALA)を光増感剤としたM. abscessusのPDT効果と耐性について検討した。
■M. abscessusと異なる濃度のALAを処理し、LED光(635 nm, 80 J/cm2)を照射した。効果は、コロニーカウント、クリスタルバイオレット染色、共焦点レーザー走査型顕微鏡(CLSM)、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察された。また、M. abscessus薬剤感受性の変化を微量希釈法で検出し、RT-qPCRで検討した。
■ALA-PDTはALA濃度50μg/ml以上でM. abscessusに対して有意な効果を示し、光増感剤濃度が増えるとともに増加した。また、ALA-PDTはM. abscessusのバイオフィルムに対して顕著な除去効果を示し、この効果もALA濃度の上昇に伴い増強された。ALA-PDT はM. abscessusの細胞壁透過性を大きく高め、薬剤耐性遺伝子whiB7およびerm(41)、ならびに排出ポンプ遺伝子MAB_1409c およびMAB_3142c のmRNA発現転写レベルで減少させた。