肺結核では、液体培養における結核菌陽性化までの時間(TTP)はCFUとよく相関し、治療前TTPは治療反応と逆相関することがわかっています(Int J Tuberc Lung Dis. 2008;12:792–8.、Chest. 1998;113:379–86.、Int J Tuberc Lung Dis. 2010;14:560–70.)。
CONVERT試験の参加者は、治療前・治療中にあらかじめ指定された間隔で喀痰検体を提供することが定められており、今回のような事後解析が行いやすいというメリットがありました。
結果的に、肺MAC症の治療モニタリングとしてTTPを用いることが支持されるわけですが、如何せん数が少ないなというのが今回の報告のlimitationでもあります。
Mingora CM, et al. Time-to-positivity of Mycobacterium avium complex in broth culture associates with culture conversion. BMC Infect Dis. 2022 Mar 12;22(1):246.
■液体培地における抗酸菌が陽性化になるまでの時間(TTP)は、肺結核の長期予後の予測に有用だが、非結核性抗酸菌症においてはまだ十分に検討されていない。本研究では、肺Mycobacterium avium complex(MAC)症(MAC-PD)におけるTTPと喀痰培養陰性化の関連性を検討した。
■難治性MAC-PD成人患者を対象に、アミカシンリポソーム吸入懸濁液を用いた治療の有効性を評価したCONVERT試験のデータを解析した。試験開始前および毎月診察時に採取した喀痰検査からTTPを測定し、培養陰性化との関連性を評価した。
■少なくとも1回受診してTTP値データがある71人を対象とした。1回の受診で複数の喀痰サンプルを提供した参加者のサンプル間の信頼性は中程度だった。TTP中央値は、培養陰性化を達成した被験者と達成できなかった被験者でそれぞれ10.5日、4.2日だった(p=0.0002)。平均ではそれぞれ11.2日、5.2日だった。治療開始6か月目までに培養陰性化した人は、培養陰性化しなかった人と比較して、TTPが5日を超える可能性が高かった(オッズ比15.4, 95%信頼区間1.9-716.7, p = 0.0037)。
図. TTP(文献より引用)