バクロフェンはUCC(難治性慢性咳嗽)ではその昔よく使われましたが、現在はリリカ®にその座を奪われている印象です。そして、今後はリフヌア®をはじめとした「ピキサント戦国時代」に入ると予想されますので、実はGABAB受容体アゴニストが表舞台に顔を出すことはそう多くないかもしれません。
2019年の臨床試験では、胃食道逆流症関連咳嗽に対してガバペンチンと同等の効果を示していますが、眠気やめまいなどの副作用はバクロフェンのほうが遥かに多いという結果になっています(Aliment Pharmacol Ther. 2019 Mar;49(6):714-722.)。
最近は痙縮の軽減のための持続髄注に関してバクロフェンの名前を聞くことが増えていますね。
この臨床試験ではカプサイシンによる咳で有意差がついていますが、よくよく本文を読んでみると、プラセボ群で咳嗽が増えていることが原因で、バクロフェン群で有意に咳が減っているようには見えないですね・・・。
- 概要
■バクロフェンは中枢作用型のGABAB受容体アゴニストであり、胃食道逆流をおさえることで咳反射を抑制するが、中枢神経系の副作用があるため、その使用は限定的である。レソガベラン(AZD3355)は新規の末梢性GABAB受容体アゴニストであるが、難治性慢性咳嗽に対する作用は不明である。
■治療抵抗性の慢性咳嗽患者を対象に、単施設プラセボ対照二重盲検ランダム化クロスオーバー試験を実施した。患者は、レゾガベラン120mg1日2回またはプラセボを2週間投与し、2週間のウォッシュアウト期間を経て、別の治療に移行した。主要評価項目は、音響モニタリングシステムで測定された24時間の咳の頻度であった。さらに、カプサイシン咳感受性を測定し、24時間食道内pH・多チャンネルインピーダンスモニタリングにより胃食道逆流も評価した。
■22人の患者がレゾガベラン→プラセボまたはプラセボ→レゾガベラン群にランダムに割り付けられた(女性73%、平均年齢63.7±7.2歳、咳嗽期間中央値10.5(IQR5.8~17.0)年、24時間で平均(95%CI)45(29-67)件の逆流現象があった。レゾガベランは、プラセボに比べ咳の回数を26%減少させたが、統計学的有意差はなかった(p=0.12)。しかし、カプサイシン咳感受性(p=0.04)および咳嗽回数(p=0.04)はプラセボに比べ有意に改善された。本試験では、レゾガベランは良好な忍容性を示した。