気温によって変わるCOPDの症状

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マスクを着用していると、在宅酸素療法中のCOPD患者さんだとマスク内の吸入酸素濃度が高くなるという恩恵があるかもしれませんが、そうでないCOPD患者さんではマスクは呼吸困難を助長させます。

慢性呼吸器疾患がある人がマスクを着用した状態で呼吸困難を感じることは「恐怖」と表現されます(Eur Respir J. 2021 Sep 2;2101459.)。夏場では、結構そういう意見をおっしゃられた患者さんは多かったです。

実際、室内の最高気温が高くなると、COPD患者さんの呼吸困難や咳・痰の悪化と関連するという報告はあります(Ann Am Thorac Soc 2016; 13: 2125–2131.)。

紹介するのは、気温と呼吸困難の論文です。





  • 概要
■COPDは、暑さや寒さによって呼吸器症状の悪化を訴えることが多いが、これを評価した研究はほとんどない。

■ボストン在住の既喫煙者のCOPD患者30人を12か月間の期間で、連続しない30日間を4回追跡調査した。個人と屋外の温度曝露は、携帯型および屋外設置モニターで測定した。

■被験者は、毎朝の肺機能測定と、ベースラインと比較して悪化した呼吸(呼吸困難、胸部圧迫感、喘鳴)、気管支炎症状(咳、痰の色・量)を記録した。混合効果モデルを用いて、湿度、喫煙量、患者背景を調整し、温度曝露(1~3日移動平均)と肺機能および症状との関連を評価した。暖かい季節と寒い季節で層別化した。

■被験者の平均年齢は71.1±8.4歳で、喫煙年数は54.4±30.7pack-yearsだった。個人の温度測定が5℃増加するごとに、呼吸器困難のオッズは1.85(95%信頼区間0.99-3.48)増加した。

■暖かい季節には、個人測定および屋外気温5℃上昇するごとに、呼吸器困難のオッズがそれぞれ 3.20(95%信頼区間1.05-9.72)および 2.22(95%信頼区間1.41-3.48)高くなった。

■外気温が5℃下がるごとに、気管支炎症状の悪化のオッズが1.25(95%信頼区間1.04-1.51)高くなることと関連した。気温と肺機能の間には関連はなかった。







by otowelt | 2022-04-17 00:58 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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