テロメア症候群による肺線維症の生存
2022年 05月 31日
テロメア症候群によるIPFでは、いつの間にか肝肺症候群になって酸素飽和度が低下してくる症例を経験します(Chest. 2015 Oct; 148(4): 1019–1026.)。よほど疑わないと肝肺症候群はスルーされてしまうのですが、心エコー検査のときに主治医がマイクロバブル試験を行える環境があれば、ひと手間かけるだけで診断は可能です。
肝肺症候群になると移植以外になかなか治療法がなくて、生活面となるとニンニクサプリメントをすすめるくらしいか・・・。
Hoffman T, et al. Extrapulmonary manifestations of a telomere syndrome in patients with idiopathic pulmonary fibrosis are associated with decreased survival. Respirology. 2022 Apr 13. doi: 10.1111/resp.14264.
- 概要
■IPFは、生存期間中央値が3-4年の疾患である。テロメア関連遺伝子に変異がある患者は、肺外の徴候や症状を示す。これらの患者は、生存期間がより短いとされるフェノタイプである。IPF患者のほとんどで遺伝子解析ができないため、IPF患者におけるテロメア症候群の肺外の徴候や症状の予測価値を明らかにする必要がある。
■409人のIPF患者を後ろ向きに調査した。テロメア症候群を示唆する臨床的特徴、検査結果、家族歴、定量的PCRによる白血球テロメア長、患者転帰を関連づけた。
■コホートには孤発性IPF患者293人と家族性肺線維症患者116人が含まれた。テロメア症候群を示唆する臨床歴(血液疾患、肝疾患、早期白髪、爪ジストロフィー、皮膚異常)、家族歴、血液学的検査異常(大赤血球症、貧血、血栓症、白血球減少)のいずれか・複数該当はIPF患者の27%に認められ、白血球テロメア長の短さと生存期間の短さに関連していた(多変量モデルではp = 0.002 )。孤発性IPFでは、臨床歴、家族歴、血液学的検査異常のいずれかを有していても、生存率の低下と有意には関連しなかった(多変量モデルでp = 0.07)。
by otowelt
| 2022-05-31 00:34
| びまん性肺疾患