非結核性抗酸菌が土壌から水系にいたる条件


地域によりますが、土壌におけるNTMの培養陽性率は高いところでは50%を超え、基本的に気温が上がる夏に多いとされています。アメリカにおける研究では、平均気温15度以上、月間降水量120mm以上で臨床検体からの検出が高くなり、平均気温が21度以上になると集団発生すら観察されるとされています(Epidemiol Infect. 2008 Sep;136(9):1188-91.)。

地下水が家の地下に流れ込むという一軒家に住んでいる肺MAC症の患者さんがいます。色々な事情から引っ越すわけにはいかず、業者もお手上げの状態で、汲み上げポンプを設置したものの、地下水の状況はなかなか改善しません。現在アリケイスを導入していますが、何か良い手はないかとずっと考えています。

さて、アメリカのNTMはハワイなのですね。沖縄同様、M. abscessusが多いです。ミクロネシアとかもやはりM. abscessusが多いんですかね?




  • 概要
■NTMは環境から感染すると考えられているが、それが一部の集団に持続的に感染性を維持する根本的な環境要因についてはまだはっきり理解されていない。

■アメリカにおいて最もNTM罹患率が高いのはハワイ州である。ハワイは気候や土壌組成が独特であり、NTMの罹患率や環境要因を調査する上で適切な場所である。

■われわれは、微生物サンプリングと空間ロジスティック回帰を用い、土壌鉱物学で補完しハワイ全体のNTMの存在確立をモデル化した。7年間にわたってハワイ諸島422地点から771サンプルを収集し、NTMの存在を調査した。

■サンプルのうち210検体(27%)からNTMが検出された。最も多かったのは、Mycobacterium abscessusだった。

■NTMが存在する確率は、水収支(降雨と蒸発散の差が1m以上)が大きく、鉄酸化物/水酸化物に富む膨張性土質で最も高くなることが分かった。NTMの存在と鉄分の関係は、過去の研究を支持するように湿潤土壌では正の相関が観察されたが、乾燥土壌ではそのような相関は観察されなかった。降水量と土壌の特性の両方が、地表NTMが人間の水源に到達するメカニズムであることを示唆している。

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図(文献より引用)







by otowelt | 2022-04-22 01:45 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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