結核後気管支拡張症はその他の気管支拡張症より重症化しやすい
2022年 06月 05日
韓国の前向き気管支拡張症登録に参加した気管支拡張症患者さん598例を登録した研究では、結核後気管支拡張症の肺機能は悪いのですがFACEDスコアはそれほど悪くないという結果が示されています(J Clin Med. 2021 Sep 30;10(19):4542.)。
結核のあとにみられる「アレ」は確かに気管支が拡張しているのですが、通常認識されてきた内因性の気管支拡張症とは何か違う気がしています。IPFでみられる牽引性のものも、気管支拡張症という認識はないですよね。
とか言ってしまうと屁理屈オジサンになってしまうので、素直に論文を読むことにします。
■気管支拡張症は、異なる表現型を持つヘテロな疾患である。結核後遺症としての気管支拡張症は、多くの国で観察されるが、十分な研究がなされていない。この研究の目的は、結核後気管支拡張症のフェノタイプの特徴を明らかにすることである。
■2010年1月~2017年10月に気管支拡張症の増悪のためシンガポールのChangi General Hospitalに入院した成人患者を登録した。背景、症状、肺機能、微生物学、FACEDスコアを収集した。参加者は、増悪による再入院または研究終了のいずれか早い方まで追跡された。呼吸器専門医により結核後気管支拡張症と診断された参加者を、他の病因による気管支拡張症患者と比較した。
■平均年齢63±9歳の148人が含まれ、46人(31.1%)が結核後気管支拡張症、102人(68.9%)がその他の病因の気管支拡張症だった。結核後気管支拡張症患者は、他の病因の患者と比較してBMIが有意に低く、喀血の頻度が高く、1秒量が低く、NTMがより頻繁に分離され、FACEDスコアが高く重症度が高かった。中央値21ヶ月の追跡期間において、結核後気管支拡張症は、増悪による再入院までの期間の短縮と関連していた(49ヶ月 vs 76ヶ月、p = 0.01)。
by otowelt
| 2022-06-05 00:36
| 呼吸器その他