JCOG0802/WJOG4607L試験:早期NSCLCに対する肺葉切除術 vs 区域切除術

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臨床腫瘍学会学術集会で既に発表されている内容です。

日本発のエビデンスとして世界に発信された歴史的な研究であり、呼吸器外科の歴史において何十年も変わらなかった標準治療の変革をもたらしたとされています(実際手術する立場ではないので、どのくらいスゴイのかが分からないのですが・・・)。

縮小手術の歴史は筆頭著者の佐治先生が書かれた総説に詳しく書かれているので参照ください

■Sublobar Resections- Current Evidence and Future Direction(URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/haigan/61/Supplement/61_880/_pdf


Saji H, et al. Segmentectomy versus lobectomy in small-sized peripheral non-small-cell lung cancer (JCOG0802/WJOG4607L): a multicentre, open-label, phase 3, randomised, controlled, non-inferiority trial. Lancet . 2022 Apr 23;399(10335):1607-1617.

  • 概要
■肺葉切除術は早期非小細胞肺癌(NSCLC)に対する標準的治療法である。区域切除術の生存率と臨床的有用性については、ランダム化試験で検討されていない。われわれは、小型末梢性NSCLC患者において、区域切除術が肺葉切除術と比較して非劣性であるかどうかを検討した。

■国内70施設でランダム化対照非劣性試験を実施した。病期IA期のNSCLC(腫瘍径2cm以下、C/T比0.5以上)の患者を、肺葉切除術と区域切除術のいずれかに1:1でランダムに割り付けた。ランダム化は最小化法によって行われ、施設、組織型、性別、年齢、薄切胸部CT所見についてバランスをとった。治療割り当ては治験責任医師と患者には盲検化されなかった。主要エンドポイントは、ランダム化された全患者の全生存率とした。副次的エンドポイントは、術後呼吸機能(6か月および12か月)、無再発生存率、局所再発割合、有害事象、区域切除完遂の割合、入院期間、胸腔ドレーン留置期間、手術時間、出血量、自動手術用ステープラ使用本数とした。ITTにより全生存率は解析され、非劣性マージンはハザード比の95%信頼区間の上限1.54に設定された。

■2009年8月10日から2014年10月21日の間に、肺葉切除術(n=554)または区域切除術(n=552)を受ける1106人の患者(ITT集団)が登録された。患者のベースライン臨床病理学的因子は、両群間でバランスが取れていた。区域切除群では、22人が肺葉切除に変更され、1人が楔状切除術を受けた。追跡期間中央値7.3年(範囲0.0-10.9年)において、5年全生存率は区域切除術で94.3%(95%信頼区間92.1-96.0%)、肺葉切除術で91.1%(95%信頼区間88.4-93.2%)であり、層別化Cox回帰モデルにより全生存率の優越性と非劣性が確認された(ハザード比0.663;95%信頼区間0.474-0.927; 非劣性一側p<0.0001;優越性p=0.0082 )。区域切除群では、すべての定義済みサブグループで一貫して全生存期間の改善が観察された。

■1年後の追跡調査において、両群間の1秒量中央値の減少の差は3~5%(p<0.0001)であり、事前に定義した規定差10%には達しなかった。5年無再発生存率は、区域切除術で88.0%(95%信頼区間85.0-90.4)、肺葉切除術術で87.9%(95%信頼区間84.8-90.3%)だった(ハザード比0.998; 95%信頼区間0.753-1.323; p=0.9889 )。局所再発の患者の割合は、区域切除術で10.5%、肺葉切除術で5.4%だった(p=0.0018)。肺葉切除術と区域切除術の後、それぞれ83人中52人(63%)と58人中27人(47%)が他の疾患で死亡した。30日および90日死亡は観察されなかった。グレード2以上の術後合併症は両群で同程度の頻度で発生した(肺葉切除術を受けた患者142例[26%]、区域切除術を受けた患者148例[27%])。






by otowelt | 2022-05-03 00:44 | 肺癌・その他腫瘍

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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