M. abscessusのrrs遺伝子変異

ご存知のように、結核菌におけるアミノグリコシド耐性で最も多い変異は、rrnオペロン中のrrs遺伝子の点突然変異です。16S rRNAが変化し、アミノグリコシドのA部位への結合が妨げられるようになります。これは結核菌に限らず、抗酸菌共通の事象です。

NTMにおける同変異についてはKimらの論文で詳しく解説されています(Sci Rep. 2021 Mar 17;11(1):6108.)。

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. MAC、M. abscessusのアミノグリコシド耐性機序(Sci Rep. 2021 Mar 17;11(1):6108.)

MACのA1408Gについてはアリケイスの「生物薬剤学試験及び関連する分析法の概要」にも記載されています。かなり勉強になるので、読んでおくとよいでしょう。

M. abscessusの約10%がrrs変異を獲得しているアミカシン耐性株であったという中国人民解放軍総医院の論文を紹介します。むちゃくちゃ多いですね。鎌田先生から「M. abscessus300株くらいで調べたところ、MIC64以上のアミカシン耐性は1%とかなり少なかった。MIC32以上の株でrrsのシークエンスを読んでみたが、変異があったのは0だった(Sci Rep . 2021 Jun 9;11(1):12208.)」とコメントをいただいています。もしかして、お国柄・・・?



  • 概要
Mycobacterium abscessus(MAB)臨床分離株のアミカシン耐性率を調べ、アミカシン曝露により同剤耐性が誘導されるかどうかを検討することを目的とし、MAB分離株のアミカシンの感受性試験を行った。

■合計75株のMABを対象に、3日間および14日間の培養後にそれぞれアミカシンに対する感受性試験をおこなった。アミカシン耐性に寄与するrrs遺伝子の部分的断片の塩基配列を決定した。アミカシンのMIC値は0.5~128 μg/mLであり、MIC50およびMIC90値はそれぞれ2 μg/mLと32 μg/mLだった。

■9.3%(7/75株)がアミカシンに耐性を示し,そのすべてがrrs遺伝子変異を有していた(A1408G変異が6株、C1409T変異が1株)。また、MAB3株のMICは2 μg/mL→64 μg/mL(1株)、2 μg/mL→128 μg/mL(2株)と有意に上昇しており、MAB3株はアミカシンの誘導耐性を有することが示唆された。








by otowelt | 2022-05-12 00:47 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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