COPDに対するLAMA/LABA代表的3剤の比較


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多施設共同後ろ向き観察研究で、LAMA/LABA3剤のガチンコ比較です(スピオルト vs アノーロ vs ウルティブロ)。リアルワールドでこれほど大規模なものは見たことがなく、COPD診療医にとっては結構衝撃的な内容となっています。

中等度~重度のCOPD増悪率の低減についてはスピオルトとアノーロが優れているという結果でした。傾向スコアマッチは私も現在勉強しているところなのですが、いざ蓋を開けてみると本研究のようにGOLD重症度に3群でばらつきが出てしまって、アウトカムに関わる共変数が一部調整できていないことが起こりますね。多変量解析の共変数選択もそうなのですが、著者の恣意性が残らないことが望ましいです。また、1年という観察期間はCOPDの世界ではやはり短いと思います。このlimitationを加味して論文を読む必要があります。

個人的には、トラフ1秒量が低いCOPDについてはよほどの禁忌がなければLAMAからLAMA/LABAへステップアップしますが、服薬アドヒアランスの観点からも手順が少ないものを選ぶ傾向にはあります。


Hsieh MJ, et al. Comparing Clinical Outcomes of Tiotropium/Olodaterol, Umeclidinium/Vilanterol, and Indacaterol/Glycopyrronium Fixed-Dose Combination Therapy in Patients with Chronic Obstructive Pulmonary Disease in Taiwan: A Multicenter Cohort Study. Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2022 Apr 27;17:967-976.

  • 概要
■LAMA/LABA併用療法は、有症状COPD患者の肺機能や健康関連QOLを改善し、増悪率や呼吸困難を減少させることが示されている。われわれは、台湾において、COPDに対する3種類のLAMA/LABAの効果を比較した。

■多施設共同後ろ向き研究において、症候性COPD患者へのLAMA/LABA併用療法後の1年間のアウトカムを評価したものである。チオトロピウム/オロダテロール、ウメクリジニウム/ビランテロール、グリコピロニウム/インダカテロールを使用した患者のCOPDの増悪と症状、肺機能、治療エスカレーションに関して比較検討した。ベースライン特性のバランスをとるために傾向スコアマッチングが適用された。

■1617人の患者データが収集された。傾向スコアマッチの結果、中等度~重度のCOPD増悪までの期間は3群間で同等で、チオトロピウム/オロダテロール投与群(0.19)またはウメクリジニウム/ビランテロール投与群(0.17)の増悪率(年換算)は、グリコピロニウム/インダカテロール投与群(0.38)と比較して有意に低率だった。COPD関連症状は治療期間中安定しており、試験期間終了時のCAT、mMRCを含む症状スコアの変化は3群間で有意差はなかった。

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. COPD増悪累積発生率(文献より引用)








by otowelt | 2022-05-25 00:13 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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