リファンピシン耐性結核に対するベダキリン

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リファンピシン耐性の84.2%は複数の薬剤に耐性とされており、このうち63.2%が多剤耐性結核とされています(結核. 2001;76: 699–706.)。リファンピシン単独耐性の場合、93.3%にrpoB遺伝子変異が観察されています(hot spot内)(結核. 2012;87(2):41-45.)が、単独耐性率は未治療患者の0.2%、既治療患者の0.5%とかなり低いです(Int J Tuberc Lung Dis. 2007;11:1129-1135.)。

リファンピシン耐性の場合、イソニアジド、エタンブトール、レボフロキサシン、ピラジナミド、アミノグリコシドを組み合わせて菌陰性化18か月など長期に使用する化学療法が必要になります。初期は当然アミノグリコシドを加えたほうがよさそうに思われますが、ここにベダキリンを加えると成績がよいのでは・・・という論文です。


Ndjeka N, et al. Treatment outcomes 24 months after initiating short, all-oral bedaquiline-containing or injectable-containing rifampicin-resistant tuberculosis treatment regimens in South Africa: a retrospective cohort study. Lancet Infect Dis. 2022 May 2;S1473-3099(21)00811-2.

  • 概要
■リファンピシン耐性結核の短期間かつ安全な経口治療が求められている。南アフリカ共和国のリファンピシン耐性結核患者を対象に、ベダキリンを含む短期経口療法(ベダキリン群)、注射剤を含む短期療法(注射剤群)の治療開始後24か月までの転帰を比較検討した。

■2017年1月1日から12月31日の間に治療を開始し、ベダキリン含有レジメンまたはWHO推奨の注射剤含有レジメンで9~12か月間の短期レジメンに適格で、薬剤耐性結核データベース(EDRWeb)に登録され、年齢、性別、HIV感染ステータス、国民識別番号が既知の18歳以上のリファンピン耐性結核患者が研究の対象となった。なお、リネゾリド、カルバペネム、テリジドンまたはサイクロセリン、デラマニド、パラアミノサリチル酸の投与を受けている患者は除外された。ベダキリンは、400mgを1日1回2週間投与した後、200mgを週3回22週間投与された。レジメンを比較するため、患者はHIVおよびARTの状態、結核治療の既往、ベースラインの抗酸菌塗抹および培養結果でマッチさせ、傾向スコアにおいて年齢、性別、治療地域、イソニアジド感受性の有無でマッチさせた。二項線形回帰により、24か月後の転帰の調整リスク差と95%信頼区間を推定した。この転帰には、その他全アウトカムと比較した治療成功(治癒または再発を認めない治療完遂)、死亡と比較した生存アウトカム、治療失敗または再発を伴う生存と比較した無病生存などが含まれた。

■2017年中に治療されたリファンピシン耐性結核患者10,152人のうち1387人(14%)が組み入れ基準を満たし、ベダキリン群688人、注射剤群699人であった。ベダキリン群における治療失敗または再発が4例(1%)、追跡不能が44例(6%)、死亡が162例(24%)で、注射剤群ではそれぞれ17例(2%)、87例(12%)、199例(28%)だった。調整後の解析では、治療成功率は注射剤群よりもベダキリン群の方が14%(95%信頼区間8~20)高く(70% vs 57%)、追跡不能率はベダキリン群の方が4%(95%信頼区間1~8%)低く(6% vs 12%)、無病生存率はベダキリン群の方が2%(95%信頼区間0~5%)高かった(99% vs 97%)。治療中の死亡率はベダキリン群で8%(95%信頼区間4-11%)低く(17.0% vs 22.4%)、治療後の死亡率に差はなかった。

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. 累積死亡割合(文献より引用)






by otowelt | 2022-05-10 00:52 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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