皮膚の色が濃い人はパルスオキシメーターの酸素飽和度が高めに表示されやすい

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COVID-19 感染症で入院した患者の非選択的コホートにおいて、白人をリファレンスとした場合、黒人、アジア人、mixed※の患者さんで、パルスオキシメーターによる酸素飽和度測定値が一貫した高めに表示され、特に臨床的に重要とされる85~89%のカテゴリー以下で顕著になるというERJの短報です。

※mixed:「2種類以上の人種が混ざった」

黒人の患者の17%が、経皮的酸素飽和度が正常であるにもかかわらず動脈血液ガス分析で酸素飽和度が88%を下回っている「隠れ低酸素血症」を有していることが示されています(N Engl J Med 2020; 383: 2477–2478.)。この報告は、当該結果を再度確認した形になります。

マニキュアは一般的に測定エラーを引き起こすため、真っ黒や真っ赤なものはできるだけ避けることが望ましいですが(医科器械学. 2003;73(4):207.)、光が散乱するので低めに出たり高めに出たりします。



Crooks CJ, et al. Pulse oximeter measurements vary across ethnic groups: an observational study in patients with COVID-19. Eur Respir J. 2022 Apr 7;59(4):2103246.

  • 概要
■2020年2月1日~2021年9月5日の間にノッティンガム大学病院にCOVID-19疑いまたは確定で入院した患者のデータを収集し、30分の間に血液ガス分析PaO2+パルスオキシメーターのSpO2のペアが揃ったデータを主要アウトカムとして使用した。ICUのデータは入手できず、それ以外の患者が対象となった。

■血液ガス分析とパルスオキシメーターで得られたデータの平均差を人種(白人、mixed、アジア人、黒人)によって層別化し、また血液ガス分析で得られた酸素飽和度によって層別化した。黒人、アジア人、混血のグループに属する個人の数が少なかったことから、大規模な集団となった白人とこれら複合カテゴリーを比較した。

■動脈血液ガス分析の前後30分以内に経皮的酸素飽和度が測定された2997人の適格患者を登録した。動脈血液ガス分析と比較してパルスオキシメーターで測定した経皮的酸素飽和度の平均差に差が確認され(p=0.02、ANOVA)、mixed群で最も差が大きかった(+6.9%、95%信頼区間−21.9~+35.8)。反面、白人(+3.2%、95%信頼区間-22.8~+29.1)が最も低く、黒人(+5.4、95%信頼区間-25.9~+36.8)とアジア人(+5.1%、95%信頼区間-23.8~34.0)は中程度の差異であった。10分の測定時間差に限定した感度分析においても、これらの差は変化しなかった。

■動脈血液ガス分析による酸素飽和度の測定値が90%未満の集団では、パルスオキシメーターはすべての人種において酸素飽和度を過大評価し、95%以上の集団では過小評価することがわかった(p < 0.0001)。これらの平均差は、動脈血ガスが真の酸素飽和度85~89%を示した臨床的に重要な領域で特に顕著に確認された。混合効果線形モデルでも、白人と比較した場合、黒人・アジア人・mixedにおいて動脈血液ガス分析よりもパルスオキシメーターで測定した酸素飽和度の数値が高かった。動脈血液ガス分析とパルスオキシメーターで測定した酸素飽和度の差の大きさを示す最終混合効果モデルでは、性別、年齢、動脈血酸素分圧で調整した後、黒人、アジア人、mixedの患者では、白人の患者と比較してパルスオキシメーターが平均+1.4% (95%信頼区間+0.5 ~ +2.3, p=0.003) 動脈酸素飽和度を過大評価することが実証された。
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. 人種ごとの主要アウトカム平均差(文献より引用)






by otowelt | 2022-05-08 00:49 | 呼吸器その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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