ロイコトリエン拮抗薬と精神神経系イベント


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確かに有意なサブグループもありそうですが、IRRを見る限りそこまで懸念しなくてもよいのではと思いました。

喘息患者さんに対してICS/LABAにLTRAを加えることが多いですが、前者のほうが圧倒的に有効性が高いので、主食に対するふりかけのような位置づけになっています。

海外ではよくジロートンが使われていますが、モンテルカストと比較してピークフロー(64.8 L/min [95%信頼区間54.8-74.7] vs 40.6 L/min [95%信頼区間31.3-49.9] )と症状スコアを改善したことが示されています(Am J Ther. 2013;20(2):154.)。

CysLT1拮抗薬に効果がなかった場合、N-ERDの患者さんではジロートンのほうがよいという見解があります(Int J Clin Pract. 2007;61(4):663.、Pulm Pharmacol Ther. 2020;60:101872.)。


Park J, et al. Leukotriene-receptor antagonist and risk of neuropsychiatric events in children, adolescents, and young adults: a self-controlled case series. Eur Respir J . 2022 May 20;2102467.

  • 概要
■ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)は喘息およびアレルギー性鼻炎(AR)に広く使用されているが、2008年の米国食品医薬品局による最初のDrug Safety Communication以来、精神神経系イベント(NPE)のリスクに関する懸念が提起されている。

■本研究では、喘息またはARの小児・青年・若年成人におけるLTRAとNPEの関連を評価した。

■3年間の2つの観察期間(観察期間1[Obs1]:2005~2007、観察期間2[Obs2]:2016~2018)の韓国国民健康保険データベースを用いて自己対照ケースシリーズ研究を実施した。LTRAを処方され、NPEと診断された3~30歳の喘息またはAR患者を対象とした。条件付きポアソン回帰を用いて、非暴露期間と比較した曝露期間およびリスク期間(LTRA開始後1~3日、4~7日、8~14日、15~30日、31~90日、90日以上)のIRRを算出した。

■対象患者17001人中、NPEのリスクはObs2で上昇し(IRR1.11;95%信頼区間1.00-1.22)、Obs1では上昇しなかった。リスクは、LTRA開始後4-7日(2.36、1.99-2.76)および8-14日(1.78、1.46-2.15)のリスク期間に、特に青年(1.28、1.05-1.55)および若年成人(1.14、1.02-1.28)で上昇し、子供(3-11才)ではリスクが低下していた。






by otowelt | 2022-06-28 00:56 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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