小細胞肺癌の頭蓋内転移に対する定位放射線手術 vs 全脳照射
2022年 07月 12日
脳転移を有するSCLC患者さんに対するWBRTとSRSと実質的に比較した研究です。
複数の予後因子を調整すると、WBRTのほうが中枢神経系のPFSが優れていたことが過去の臨床試験で示されています(ハザード比0.38、95%信頼区間0.26-0.55)が、基本的にはOSにはアドバンテージはないとされています(WBRT:OS中央値5.2か月 vs SRS:6.5か月)(JAMA Oncol 2020; 6:1028.)。
すでに脳転移があるSCLCに対して、SRSを先行させた場合とWBRTを先行させた場合で層別化した集団をみると、先行SRSはOS延長と関連しており(10.8か月 vs 7.1か月)と関連しており、複数の予後因子で調整した多変量解析でも有意性が維持されています(ハザード比0.70, 95%信頼区間0.60-0.81)(Lung Cancer 2018; 120:88.)。
Stereotactic radiosurgery versus whole brain radiotherapy in patients with intracranial metastatic disease and small-cell lung cancer: a systematic review and meta-analysis. Lancet Oncol . 2022 May 26;S1470-2045(22)00271-6.
- 概要
■小細胞肺癌(SCLC)患者は、頭蓋内転移(IMD)のリスクが高い。ほとんどの固形癌におけるIMDの治療の第一選択は定位放射線手術(SRS)となり、これは全脳照射(WBRT)に取って代わった形となっているが、SCLC患者におけるIMDの第一選択はWBRTが依然として残っている。われわれは、WBRTと比較したSRSの有効性を評価し、SRS後の治療成績を評価した。
■このシステマティックレビューおよびメタアナリシスでは、SCLC患者のIMD治療に対するSRSについて報告した比較試験・コホート研究を、2022年3月23日まで検索した。SCLCに続発したIMDに対するSRSについて報告されていない研究は除外した。主要アウトカムはOSとした。
■3823件の報告のうち、31件が組み入れに適格であり、7件がメタアナリシスに組み入れられた。SRS後のOSは、SRSブーストの有無を問わないWBRT後(ハザード比0.85、95%信頼区間0.75-0.97、7試験・18130人)、またはWBRT単独(ハザード比0.77、95%信頼区間0.72-0.83、7試験、16961人)より有意に延長しており、WBRT+SRSブースト(ハザード比1.17、95%信頼区間0.78-1.75、4試験、1167人)と比較して統計学的に有意ではないものの延長傾向にあった。SRSによるプールOS中央値は8.99ヵ月(95%信頼区間7.86-10.16、14試験、1682人)であった。全比較試験をプールしたとき、試験間の異質性は高かった(I2=71.9%)。
by otowelt
| 2022-07-12 00:23
| 肺癌・その他腫瘍